2021.04.01

デジタルマーケティングの成果を出せる企業はどんな企業か? 予算・データ・リテラシーよりも大切なこと

近年、あらゆる企業がデジタルマーケティング領域の強化を急いでいます。また、コロナ禍を受け、「予算の割り当てや人材の配置を手厚くした」という企業も増えているようです。しかし一方で、そうした努力を続けているにもかかわらず、「成果が見えづらい、注力の仕方が的確ではないように感じる」といった悩みを抱える現場も少なくありません。 そこで本稿では、株式会社電通デジタル・電通アイソバー(現 電通デジタル)・アドビ株式会社の3社が共催したウェビナー「マルチチャネルにおけるコミュニケーション自動化最前線!AIとヘッドレスアーキテクチャを活用したコンテンツ制作/管理方法及びコミュニケーション設計とは?」のうち、「最先端企業から学ぶ!ビジネスグロースのための顧客起点のコミュニケーション設計」と題して電通アイソバー(現 電通デジタル)が発表したセッションの内容をお伝えします。

デジタルマーケティングによって成果を出す企業はどんな企業か?

多くの場合、「デジタルマーケティングによって成果を出す企業はどのような企業か?」と問われれば、予算が潤沢であったり、顧客のデータをより多く保持していたり、デジタル領域のリテラシーが高い人材が豊富である、といった要素を挙げるものでしょう。

しかし、それらの要素以外にも、業績の向上と相関関係があるファクターがあります。

下図「コンテンツ活用に関する調査」結果集計表(平成26年11月12日公表)で示す通り、業績向上率Worst200社のマーケターの仕事時間の内訳は『コンテンツ準備(作業) 従事時間(作業の時間)>戦略立案や活用検討従事時間(思考の時間)』である一方、業績向上率Top200社の マーケターの仕事時間内訳は『コンテンツ準備(作業) 従事時間(作業の時間)<戦略立案や活用検討従事時間(思考の時間)』になっています。

つまり、思考の時間に重きを置く方が業績向上の可能性が高まると考えられ、マーケターの時間の使い方は、成果にも影響する重要なファクターであると捉えることができます。

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成果を出すために着目すべき3つのポイント

前述でわかった通り、マーケティングチームの戦略立案や活用検討をする時間が業績向上に深く関わるのだとしたら、次に注目したいのが「どのようなことを思考すればいいのか?」という点です。

昨今、顧客接点が爆発的に増えた市場では、「CXの設計」「フリークエンシー」「発信確度」の3つの項目について検討することは非常に重要だと考えます。では、それぞれの項目をひとつずつ考察していきましょう。

まず、「CXの設計」についてです。
CXとは、企業が顧客を優良顧客にするまでに、継続的に提供するブランド体験のことを指します。

例えば、製品やサービスについて知りたい、買いたい、と考えた消費者がそれにまつわるコンテンツから情報収集をする際、適切な情報にスムーズにたどり着けたなら、顧客にとってその体験は充実したものだと言えます。しかし、ページのローディングに時間がかかりすぎたり、コンテンツの情報が消費者の期待を満たしていない場合、興味を失ったり、検討を止めてしまう、という行動変化に繋がってしまうことでしょう。

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今日、顧客は全てのデバイス・チャネルで快適かつニーズや目的にマッチした体験を求めており、コンテンツは“企業と消費者の触媒”であると考えられます。
つまり、顧客となりうる消費者のニーズや目的を解像度高く理解してコンテンツを拡充し、良質な顧客体験をデザインする必要があります。

2つ目に注目するのが「フリークエンシー」です。
フリークエンシーとは、顧客と、企業からの発信コンテンツ(や体験)との接触頻度のことで、これが高くなりすぎれば「同じコンテンツに接する機会が多くて見飽きる」といった状態になり、コンバージョン率が低下すると考えられています。

そうした状況を避け、顧客に常に新しく適切な情報を伝えるには、フリークエンシーのコントロールが極めて重要です。そのため、フリークエンシーをKPIに設定し、適切なコンテンツをより多くリリースしていくことが重要だと言えます。

しかし、そうすると、「フリークエンシーをコントロールするためにコンテンツを量産することで制作工数が逼迫する」という新しい問題が生じかねません。これでは冒頭に示した「コンテンツ準備(作業) 従事時間(作業の時間)>戦略立案や活用検討従事時間(思考の時間)」という事態に陥ってしまいます。

他方、フリークエンシーコントロールのためにコンテンツを制作するにしても、1つのメッセージによって顧客が態度変容を起こす確度である「発信確度」に注目することも重要です。

その際、webやeメールなど一定のチャネルだけでのアプローチではなく、様々なチャネルで検討を促進したり、リピートを促したりして多角的にアプローチする方がより成果が見込めるのは当然のことでしょう。

 

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前述の「CXの設計」「リソースを逼迫しないコンテンツ制作」「発信確度を高めるためのマルチチャネル対応のシステム環境」の3つは、当社がお客様から課題としてご相談いただくことが多い課題です。それぞれの課題に対し、解決の糸口を探っていきます。


デジタルマーケティングを理想的な姿に近付けるために

前述の3つの課題についてどのような取り組みが考えられるでしょうか?

「We are the CX Design Firm.」を掲げ、ブランドと一人ひとりの顧客が永く繋がり続けるための “特別な関係性”を生み出す取り組みを続けてきた電通アイソバー(現 電通デジタル)では、3つの課題に対し、次のように考えています。
 

優れたCXとは?


電通アイソバー(現 電通デジタル)では、「優れたCXはいつも、心を動かしゴールに導く『Motivation』と、ゴールに向かう際の障壁を排除して徹底してつまづきを無くす『Frictionless』の2つの矢印でできている」と考えています。

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優れたCXを実現するには?


では、優れたCXデザインはどのようなプロセスで導くのでしょうか。

電通アイソバー(現 電通デジタル)では、顧客とブランド、そして外部環境の3つの視点で現状のCXアセスメントを行なうDiscoverのフェーズをベースに、現状からあるべき姿や成長のロードマップを策定するDefineのフェーズ、タッチポイントのデザインやKPIの設定を行なうDesignのフェーズを経て、実行フェーズであるDeliverへと移り、戦略のチューニングを都度行なう「4D」のアプローチを進めています。

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このような取り組みを行なう際、アプローチ自体を推進していくと同時に、立案した戦略をマーケターたちやその関連部署だけでなく全社的に浸透させることも重要な要素のひとつです。
 

テクノロジーを駆使した作業工数の削減


次に取り上げるのは、「フリークエンシーをコントロールするためにコンテンツを量産することで制作工数が逼迫する」という問題点に対する解決策です。

「企業を成長のサイクルに乗せるには、いかに多くの作業時間を効率化し、思考の時間を増やすか考えることが重要である」との前提に立つと、この問題を解決するには、①リソースを増やす、②作業工数を削減する、という2つの選択肢が考えられます。
ただ、①は組織の予算など解決すべき問題が多いため、AIなどのテクノロジーを駆使して作業工数を削減することの方が現実的だと言えるでしょう。

例えば、「ADVANCED CREATIVE MAKER Presented by 電通デジタル」は、デザイン制作の経験やスキルのないマーケターであっても意図するデザインに近いアウトプットを数ステップで作成したり、大量のデザイン案バリエーションを高速で生成することが可能です。
 

発信確度を高めるためのマルチチャネル対応のシステム環境


ここまで「顧客を理解し、戦略を立案すること、そして、そこで得られたインサイトを前提にコンテンツを設計していくプロセスやテクノロジーの活用」について説明してきました。しかし、それらが整ったとしても、チャネルごと、あるいはマーケティングツールやシステム環境の制約によって、せっかく設計したCXデザインが実現できず、“絵に描いた餅”になってしまえば元も子もありません。

では、「マルチチャネルにおいてコンテンツを管理し、チャネルごとに最適な体験を顧客に提供していく最適な方法」として、どのようなものが挙げられるでしょうか?

電通アイソバー(現 電通デジタル)では、その解決策として「ヘッドレスアーキテクチャの導入」を提案しています。マルチチャネルにおいて最適な顧客体験を提供することを可能にするアーキテクチャの概念である「ヘッドレスアーキテクチャ」を利用すれば、最適なCXを基軸に設計し、必要に応じて個別システムと連携したり、様々なチャネルに展開することが可能なため、柔軟な運用が可能となります。

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思考の作業をより洗練されたものにするために

本稿では、マーケターが「思考の時間」に重きを置くと業績向上の可能性が高まるという仮説のもと、成果を出すために注目すべき3つの課題と、その解決方法のヒントを探ってきました。

一方で、現在のリソースやナレッジについて課題を感じる部分もあるかもしれません。例えば、デジタルマーケティングで成果を出すべく戦略立案や活用検討をする思考の時間を増やせるようになったとしても、自社に合った考え方・進め方かどうか見極めるのは難しい部分もあるかもしれません。

電通アイソバー(現 電通デジタル)は、そのような課題を抱える企業のみなさまと並走し、そのビジネス成長に貢献しています。

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