2021.11.18

顧客との継続的なコミュニケーションのためのUX 〜理想のCX(顧客体験)戦略を新たに検討する際のポイント〜

コロナ禍によって、リアルかデジタルかを問わず、顧客とのコミュニケーションの重要性が再認識されました。そうした体験を経て、多くの企業が今まさに自社のコミュニケーション戦略を考え直そうとしていると推察します。

その際、これまでの「常識」や「常法」にとらわれたままでいれば、時代にあった戦略を描き切ることは難しいでしょう。

デジタルあるいはリアルのいずれかのコミュニケーションを担当していたとしても、むしろ、その両面を捉えてCXコミュニケーションを見直すーーたとえば、OMO(Online Merges with Offline)のようにリアルチャネルとデジタルチャネルを融合したコミュニケーション体験設計を取り入れるーーといった、丁寧な過程を辿る必要があると私たちは考えています。

では、その丁寧な過程とはどういったものか? その時に押さえておくべきポイントは何か? ある企業の事例をもとに、電通デジタルUX本部UXアーキテクツ部  CXストラテジスト/UXプランナーの八木 優が解説します。

※所属・役職は記事公開当時のものです。

UX本部UXアーキテクツ部 CXストラテジスト/UXプランナー HCD-net認定 人間中心設計専門家

八木 優

これまでのカスタマージャーニーではコミュニケーションが立ち行かなくなっている

冒頭でも示した通り、コロナ禍による社会環境の変化は急激で、同時に技術進歩によりデジタルの立ち位置や顧客とのタッチポイントも大きく変化しています。このことによって、企業は、顧客が製品やサービスを利用するジャーニー全体からカスタマー・エクスペリエンスを見直す必要性に迫られているケースが非常に増えています。

例えば、デジタル領域であれば、Webサイトの立ち位置はもちろん、それらを取り巻くソーシャルやPushメディアなどの役割にも変化が出ており、タッチポイントの最適化は企業にとって急務である、という状態になっているといえます。

企業側もそうした社会の変化を肌で感じているのは確かなようです。何か施策を打つ必要がある、との思いからか、コロナ禍以降、「WebサイトのUI/UX改善やリニューアルを行いたい」との相談を持ち込まれるケースも多くなりました。

ただ、表面的な見た目やサイトUIの改善だけでは、今日のタッチポイントの変化には対応しづらく、顧客とのコミュニケーションを深めるまで体験にはなりえません。そのため、「CXの視点から広くコミュニケーションのあるべき姿を見直し、サイト戦略・戦術を根本的に見直す必要がある」とご提案する機会も増えています。


顧客との持続的コミュニケーションを描くためのポイント

では、前述を踏まえた上で、新しい戦略としてどういったものが理想的な姿になるのでしょうか? おそらくどの企業にとっても、「買っておしまい・加入しておしまいではなく、持続的に顧客らが利用し続けてファン化していくような戦略を描きたい」と考えるはずです。

そのような理想の戦略をどう設計するか、ここからは大きく2つのポイントをご紹介します。

 

1. デジタル・リアルを含めチャネルやタッチポイントの役割・立ち位置を明確にすること

・特に国内のメーカー・サービスはこれまでもリアルが重視され、デジタルが積極的に活用されることが少なかったといえます。コロナ禍前までは「実店舗ほどeコマースに力を入れていない」という企業からの意見もたびたび聞かれたほどでした。

しかし、今後はオムニチャネルやOMOを見据え、リアルとデジタル双方を通して「顧客とどうコミュニケーションを取っていくか」を検討することが重要になってくると考えられます。

・チャネルやメディアそれぞれの特性を活かし、タッチポイントごとで「どんな体験ができれば顧客は購買モチベーションやロイヤルティが向上したと感じてくれるか?」 を紐解きながら整理していく必要があります。
それによってサイトできること、LINEやメール、ソーシャルメディアでできること、Webやリアルの広告でできること、実店舗やカスタマーサービスでできること等々、各チャネルの役割やゴールが決まってくるといえます。

2. 各タッチポイント・施策が線としてつながり、正のスパイラルとなってユーザーの活性化・拡大につながること

・ユーザーがリアル・デジタルコミュニケーションを通してどのように成長・ファン化していくのか? そのシナリオが描けていることが重要です。その上で、シナリオに対して各タッチポイントが(上記で設定した)役割を充分に果たすための最も合理的な実施策や機能を企画することが求められます。

・ユーザーがベネフィットを感じたまま体験のスパイラルの流れに乗り続けられることが重要です。この時、少しでも負担を感じればスパイラルには乗らずに離脱してしまうことも考えられます。一方、もしスパイラルに乗ったユーザーが満足感を伝えてくれたり、メリットを発信してくれたりしたなら、それを見た見込み顧客が製品・サービスに興味を持ってもらえ、新たにスパイラルの中に迎え入れることができるーつまり、新規顧客の獲得向上への効果が期待できるーと考えられます。

Zoom

ロジカルxクリエイティブに実施施策に落とせるのが電通デジタルの強み

上記のポイントは、自社内の意見だけでは整理したり、客観的に見定めたりできないことも考えられます。

そこで、電通デジタルでは、分析から戦略、改善要件定義、フロント設計までをUXの領域の専門人材が一貫して並走することで、ロジカルな(筋が通った)施策・企画を作るようお手伝いしています。

また、取り組みが進めば、より制作領域に特化したクリエイティブの部署とコラボレーションしたり、開発すべきことが多ければ開発担当の部署と一緒に案件に対応したりすることで、戦略から実装、運営まで私たちが一気通貫でクライアントの課題に向き合い、多様な表現やコミュニケーションを実現しています。


「CX UPDATES」のUI/UX特集では、こうした企業の全体的なコミュニケーション戦略の再検討から戦略の実現のほか、UI/UXに課題を感じている企業のマーケターの皆さんのお役に立てるよう、事例のエッセンスをもとにどのようなアプローチで課題解決を行なったかをお伝えしています。

 

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