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2021.12.09

アフターコロナにおけるソーシャルコマースの顧客体験 ライブストリーミング

本稿は、「アフターコロナにおけるソーシャルコマースの顧客体験」連載の2回目になります。コロナ禍以降のソーシャルコマースのベストプラクティスを紹介していきます。


約10年前、中国のモバイル・コマースプラットフォームはライブストリーミングへの投資を始めました。小売業のプラットフォームでは、ライブストリーミングを「ショッピングデー」の特別イベントとしてエンターテインメントや商品に対する注目を集める手段として使うようになりました。これが非常に人気になり、中国メディアPandailyは、あるライブストリームホストの1日の売上額は、高級ブランド・アストンマーティンの1年分よりも多かったと報じています。

ただし、ライブストリーミングにはいくつか課題があります。その点を慎重に検討しなければ、チャネルのパフォーマンスが低下する恐れがあります。

動画の長さ
コロナ禍に生活者が外出制限されたことは、ライブストリーミングが人気を博した理由の1つでした。しかし、生活が「通常」に戻り始めると、ライブストリーミングから生活者は遠のきます。2009年から2016年にかけて、人々が余暇にかける時間は世界平均で1日1〜3時間でした。この貴重な余暇の一部を、コンテンツを見て過ごしたいと思わせるためには何が必要でしょうか?一つはコンテンツの内容ですが、この点については後述します。一般的に、生活者の時間は限られているため、ライブストリームは余暇のほんの一部となるように計画する必要があります。コロナ禍以前のライブストリーム動画の平均時間は26.4分でしたが、コロナ禍で顧客はさらに短い動画を好むようになりました。ライブストリームコンテンツは、数分程度になるよう作成し、短いコンテンツを作成するのが難しい場合は、タイムスタンプやゲームで顧客にリワードを与えたり、懸賞を行ったり、ライブストリーミング中ずっとガイド役を出演させたりするなど、生活者を飽きさせない対策を検討してみてください。

「売上げ」を超えるフォーマット
売上げを伸ばしたいと思う商品の紹介をする方式では、既存顧客やフォロワーを飽きさせる可能性があり、コンテンツも同じことの繰り返しのように思われるかもしれません。また、競合他社と同様のフォーマットでは、コンテンツの「特別感」が失われる恐れもあります。例えば、映画やTVの脚本家の目線でライブストリームの番組構成を考えてみてください。商品に焦点を当てるのではなく、商品を使用しているユーザーや、そのライフスタイルに焦点を当て、クリエイティブコンテンツ自体に商品と実例を取り入れたコンテンツシリーズを作成するようにしてみてください。また、かつてのラジオやテレビ番組のように、一連のコンテンツを通じてロイヤルティを構築するようにしてみましょう。そうすれば、生活者は特定の時間に毎日または毎週戻ってくるでしょう。コンテンツが短ければ、定期的に戻ってくるのがさらに容易になり、そのような顧客に対して、チャンネル登録とプッシュ通知をオンにするように勧めましょう。

ショッピング
顧客は日常的にショッピングをしていますが、常にブランドから購入を迫られ続けるのを好むわけではありません。そこで、ライブストリーム中にショッピングができるようなシステムを取り入れてみましょう。日本の場合、ソーシャルプラットフォームの多くは、ライブストリームから直接ショッピングはまだできません。したがって、日本のブランドは、ライブストリーミングプラットフォーム内のツール経由で購入する方法を導入する必要があります。方法の1つとして、ブランドのプロフィール内でリンクを紹介するか、可能な場合はストリーミングの説明欄で商品を説明したりリンクを紹介したりすることもできます。ただし、もっと先進的な方法を追求するなら、メッセージングを通じてeコマースをトリガーできるJumper.AiなどのAIツールの搭載も検討しましょう。指定されたハッシュタグが使用されると、ライブストリーミングに関するダイレクトメッセージがブランドから送信されます。基本的にAIツールは、特定の製品に興味を持っていることを示すハッシュタグが使用されると、そのユーザーに自動でメッセージを送信します。ソーシャルコマース機能がまだ利用できない地域では、このようなツールの使用も可能です。

多目的コンテンツ
コロナ禍における世界経済への影響で、マーケティング予算はさらに厳しくなっている可能性があります。したがって、マーケティング活動ではより効率的に、場合によっては2つの目的を同時に追求する必要があります。現在人気のイベントドリブン型のライブ配信は、多くが特定の日時に実施されています。しかし、投資を最大化するには、ライブストリームコンテンツをブランドのWebサイトまたはソーシャルチャネル上で、長期的に色褪せないコンテンツ構築の方法だと捉えるのも一案です。つまりキャンペーンに依存せず、特定のプロモーションの情報にとらわれることのないコンテンツを企画し、顧客のニーズや「いつでも得られる」商品の利点を強調する、あるいはブランドの「差別化」を行う必要があります。投資をさらに最大化するには、配信後にYouTubeやInstagramなどに動画をアーカイブするか、ソーシャルプラットフォーム以外のライブストリーミングの技術パートナーとの提携も考えられます。多くのブランドは、自社のWebサイトにライブ配信用の「ライブストリーミングハブ」またはビデオハブを作成しています。YouTube上のコンテンツを拡大するには、ライブストリーミング用のディスプレイ広告を購入するという方法もあります。YouTube上のディスプレイ広告にライブ配信のライブビデオストリームを取り込み、ユーザーが広告をクリックすると、ライブストリームのYouTubeページに直接誘導するというものです。

人材
ソーシャルメディアの柱の一つは、「本物」、「生身の人間」にアクセスして同じ目線を完全に共有するところにあります。ソーシャルメディアは益々、ライブストリーミングのプラットフォームになりつつあります。それにつれて、ブランドは顧客の声ではなく、ニュース番組のように目的をもって情報を共有するようになります。多様な人材をそろえて、ブランドの販売員としてだけでなく、ユーザーやフォロワーの代表として活躍させるようにしてください。ライブストリーミングに最適な人材を選び、ブランドニュースを配信するだけでなく、ライブストリーミングに参加した視聴者と確実に交流できるようにしましょう。状況にうまく対応し、視聴者と直接ビデオで話し合ったり、共同制作やコラボができたりするような人材であれば、さらに良い結果を生むでしょう。


電通デジタルのソーシャルコマースコンサルティングサービスの詳細は、弊社E-commotionサービスにて紹介しています。

 

カーダー ジェネッサ Jenessa Carder

CXストラテジー本部付 シニアエグゼクティブストラテジープランニングディレクター
電通アイソバーにて、消費者体験(CX)戦略担当バイスプレジデント。美容、CPG、ハイテク、ヘルスケア、フィットネスなど様々な業界の世界中のクライアントに対して、キャンペーン、製品発売、デジタルエクスペリエンス、トランスフォーメーションプロジェクトにおいて10年以上のコンサルティング経験を持つ。

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