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2021.07.15

ヘッドレスアーキテクチャを検討する際に押さえるべきポイント

このところ、「eコマース利用やWebサイト閲覧など、バーチャル上での体験をシームレスなものにし、ブランドロイヤリティを高めたい」と考える企業が増えています。また、そうした時に浮かび上がる課題を解決する方法として、ヘッドレスアーキテクチャを検討するケースも見られるようになってきました。

では、「シームレスな顧客体験の実現」にあたって、ヘッドレスアーキテクチャの導入はどのような場面でも最適解だと言えるのでしょうか?

本稿では、電通デジタル ビジネスディベロップメント部 プランニングディレクター 門別諭が「Drupal Meetup 羽田」で語った内容をもとに、改めてヘッドレスアーキテクチャの基礎を押さえ、導入を検討する際に注目すべきポイントなどを整理した上で、本当にヘッドレスアーキテクチャが求められるのはどのような場面なのか、確認していきます。


ヘッドレスアーキテクチャとは?その有効性を理解する

ヘッドレスアーキテクチャの仕組みを理解する前に、CMSがフロントエンドにどのようにして情報を表示させているのか、把握しておきましょう。

通常、CMSは、データの管理や配信するテンプレートを作成し、コンテンツを登録した際にそのコンテンツをテンプレートに当てはめてHTMLとして出力するという役割を果たします。

しかし、今日の企業はECサイトやブランドサイトなどを並行して開設・運用していることが多く、それぞれで情報を管理したり、それを担当する部署も管理するサイトごとに分かれているため、必ずしも情報連携が活発ではないことがほとんどだと推察できます。

そのため、いざ企業が、「顧客にシームレスな体験を提供したい」と思い立っても、結局のところ、顧客は「Webサイトで情報を見たあと、ECサイトを訪問するとまた同じ情報を閲覧することになる…」というような、“シームレスではない”体験をせざるを得なくなっている、というわけです。

このようなシステム的あるいは部門的な“バリア”を解消する上で有効に機能するのがヘッドレスアーキテクチャの特徴だと言えます。

それというのも、たとえこれまで個別に管理されていた情報等があったとしても、ヘッドレスアーキテクチャを利用することで、それぞれのシステムで保持している情報を一か所に集めることなく、必要なところから必要な情報を必要な時に取得して顧客に最適な形で提供できるからです。

つまり、ヘッドレスアーキテクチャは、CMS視点で見ると「フロントエンドをCMSではなく別のシステムを利用して生成するアーキテクチャである」と説明できます。そのため、「Decoupled Architecture」とも呼ばれています。

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ヘッドレスアーキテクチャを導入する際のチェックポイント

バーチャル上でできるだけシームレスな顧客体験を楽しめるように、その課題となっている事柄を解消する可能性を持つヘッドレスアーキテクチャ。もちろんヘッドレスアーキテクチャはバーチャル上の話だけではなく、リアルにおけるデジタル活用などでも重要な役割を持ちます。ですが、すべての場面で有効であるとは言い切れません。

門別は「実際のところ、どんなケースでもヘッドレスアーキテクチャにすれば良いかと言うと、そうとは言い切れない。これまでのやり方とヘッドレスアーキテクチャの良さを掛け合わせたハイブリッドな構成にした方がいい場合もあれば、トラディショナルなやり方の方が良い場合もある」と述べた上で、ヘッドレスアーキテクチャの導入を検討する際の重要なポイントについて、次のように順を追って解説しました。

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「判断のポイントとしては、まずはシームレスな顧客体験を実現する上で、バリアになるようなものがないか、見直す必要がある。

例えば、製品情報をCMSとECサイト両方の管理画面に入力しなければならない、といった作業が重複するような状態が起きていたり、同じ情報がバラバラに管理されているのだとしたら、ヘッドレスを使うことによって作業負荷の低減が見込めるだろう。
また、WebサイトやECサイトだけでなく、スマートウォッチや店頭のタッチパネルなどに表示させるといったマルチデバイス配信を実現したいのであれば、ヘッドレスアーキテクチャは非常に有益な仕組みだと言える。

加えて、最適な情報発信をしたり、パフォーマンスを高めたいという意向があるなら、ヘッドレスアーキテクチャを活用するメリットが見出せるだろう。ただし、パフォーマンスだけでヘッドレスを選択する際には、運用時の使い勝手も加味すべきだ。

例えば、Drupalを使ってコンテンツを配信しているところにヘッドレスを導入すると、コンテンツとテンプレートを組み合わせたJSONというファイルが出来上がる。そうなると、プレビューでは、その出来上がったJSONファイルがプレビューされるため、『正しく表示されているかどうか?』の判断がつかなくなるため、プレビュー画面をフロントエンドにあるヘッド(デザインを表現する仕組み)の部分を利用して、プレビュー機能をフロントエンドと“連携”する、といった対応が必要になる。そうしたことを考えれば、単純にパフォーマンスだけでヘッドレスアーキテクチャを使う方が良いか、判断が分かれることになるだろう」。

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これらの解説をした上で門別は、「情報を組み合わせたり、その情報を複数のデバイスで表示させたい場合や、いろいろなシステムの情報を束ねたい場合には、やはりヘッドレスを導入するメリットは大きい」としました。

「Kirimori」で実現するシームレスな体験

電通デジタルでも、「顧客にシームレスな体験を提供したい」と考えるクライアント企業らのニーズを受け、Acquia(Drupal)をCMSの基盤として利用し、コマースやパーソナライズツール、CRMなどと連携して情報を配信するヘッドレスシステムのプラットフォーム「Kirimori」を提供しています。

「Kirimori」は、基本的にはAquiaとShopifyの情報を組み合わせてフロントエンドに提供するという仕組みですが、重要なことは「AquiaやShopifyがどう動いているかということはあまり関係なく、顧客体験を設計して、その設計に応じてフロントエンドを変更することができる点だ」と、門別は解説します。

また、最初のうちはShopifyのようなコマースシステムとCMSだけで運用していたとしても、規模やビジネス戦略の進化・成長に応じてMAツールやカスタマーデータプラットフォーム(CDP)を追加で導入することは考えられます。そうした時、ヘッドレスならではの拡張性を生かし、柔軟にそれらを連携できるというメリットも得られます。

さらに、優れたページ表示のパフォーマンスを発揮することから、ユーザビリティの良いサイトとして上位表示を見込むことができるという利点も生まれると考えています。
当然、他のソリューションとうまく連携できるため、マルチデバイスに適宜情報を表示させることができ、運用面でのリソース最適化なども見込めるでしょう。

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最後に門別は、「ヘッドレスアーキテクチャのメリットはここまで述べてきたことで網羅されているはずだ。しかし一方で、これまでの商談の中で、企業はまだ『ヘッドレスアーキテクチャを導入するコストをかけて、何のメリットが得られるのか?』という疑問を払拭できていない、とわかっている。

だが、システム導入そのものに目を向けるのではなく、『体験設計の柔軟さを実現できる。企業のブランドロイヤリティを高められる』という導入後に実現できることを起点に考え、その施策のひとつにヘッドレスアーキテクチャがある、と捉えてみてほしい」と結びました。

システムの刷新や新しい概念を取り入れる際、その判断に迷ったり、価値を評価しづらい場合に出くわすこともあるかもしれません。
電通デジタルでは、そうした問題はもちろん、より本質的な「いかにすれば顧客が喜ぶ体験を提供できるようになるか?」という問いに向き合い、ヘッドレスアーキテクチャの導入等の解決方法を提案して実現に向けて伴走することで、クライアント企業のビジネスに貢献しています。

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門別 諭 Satoru Monbetsu

ビジネスディベロップメント部 プランニングディレクター
大手制作会社にてビジネス設計、UX/UI、アーキテクチャなどさまざまな分野を経験。コンサルティングからインフラに至るまで、大手から中小までの幅広い経験から状況に応じた知見があり、長いパートナシップをクライアントと築くプロセスを構築する。コマースにおける幅広い知識を活かし、受注受付までではなくその先の業務フロー設計および出荷までの全体設計、フルフィルメント設計を得意とする。

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