2020.06.17

リアルでの体験を自然にデジタルシフトさせ、新たなCXを創造する 〜そのためにソリューション・プロダクトはどう選ぶべきか?〜

近年、多様化し細分化した人々のライフスタイルや嗜好は、新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけにさらに大きく変化しつつあります。それに合わせ、ビジネスも様変わりしようとしています。

例えば、小売業を中心に、これまで以上にeコマースを重視し、経営戦略を書き換えようとする動きが見られ始めています。こうしたなかで、一番に着手されるのが「それを可能にするための環境整備」でしょう。適切なプラットフォームをどう構築すればいいか、悩まれている企業は少なくないかもしれません。

ここでは、変化するビジネス環境に適応しつつ、良質なCXを提供するためにはどのような考えをもとにプラットフォーム構築を行なえばいいのか、プラットフォームコンサルティング部 部長 坂祥明の話をご紹介します。

※所属・役職は記事公開当時のものです。

電通デジタル プラットフォーム&データ本部
本部長

坂 祥明

リアルでの体験を自然にデジタル化させていく方法が重要なテーマに

――多くの企業が、新型コロナウイルスの感染を避けながらビジネスを前に進めるために何ができるか、考えている最中です。なかでも、3密を避け、ソーシャルディスタンスを保ちながら買い物ができる機会を提供しようと、e コマースに注力しようとし始めている企業も少なくないと聞かれます。 eコマースを支える上で、ソリューションやプロダクトの選定・導入や運用は欠かせませんが、これについて何か懸念されていることはありますか?

坂:多くの企業で、ソリューションやプロダクトの選定をし始めていると考えています。しかし、以前もご紹介した通り、ソリューションやプロダクトを選定することよりも、顧客がこれまでリアルな購買行動を通じてどんな体験をしてきたかをあらためて明らかにし、オンラインではどのような体験をしてもらうか、考えることのほうが大切ではないでしょうか。
参考記事

ECサイトはたくさんありますし、簡単に始めようとすれば決済機能を導入するだけでも始められます。しかし、良質なCXをもたらし、引き続き自社のファンでいてもらえるように、と考えたら、より上流のビジネスストラテジーから考えて、あるべきプラットフォームを選定する必要があるはずです。

ソリューションやプロダクトを導入するだけでは、いずれ「本当はこんな顧客にこんなキャンペーンを展開してCXを向上させたい」とか「顧客ごとに何かをしたい」「新たな購買方法、顧客チャネルを追加したい」といったアイデアが出てきた時に対応ができなかったりすることも考えられます。

eコマースの拡充を検討している多くの企業が、これまではリアル店舗できめ細かい接客をして良質なCXを提供してきたことでしょう。しかし、今後もそれができるとは限らないと言われるようになっています。

今後は、これまでリアル店舗の接客で提供できていたCXをどうデジタル化していくか、ということが非常に重要なテーマになると考えています。

リアルとデジタルでのナレッジをマージする

――これまで提供できていたCXをどうデジタル化していくか、どのような方法が考えられるでしょうか?

坂:例えば、チャットボットやボイスコマースは、解決方法のひとつになるかもしれません。最初は、これまで店舗で活躍してきたスタッフのみなさんに対応してもらう“人力対応”でもいいかと思いますが、そのデータを蓄積してテクノロジーと掛け合わせれば、より自然でその企業に合った独自のチャットボットに育つかもしれません

これまでリアル店舗とECはお互いにあまり接点がなく、それぞれが持っていたナレッジが共有される機会が少なかった、との話をよく聞きます。しかし、これからはその境界線が薄れ、EC側にリアル店舗の顧客対応の要素が加わったり、店舗側のデジタルシフトが進むといった変化が起きるかもしれません。

そうした変化を踏まえて、「顧客にどのような体験をしてもらいたいのか?」について、時間をかけて話し合ってから、ソリューションやプロダクトの選定やプラットフォームの構成をしていった方が合理的ではないでしょうか。
電通アイソバー(現 電通デジタル)では、そうした議論を行なう場をワークショップ形式でもうけるなどしてクライアント企業のサポートをしています。

テクノロジーはこれまでにないCXをもたらす

――嗜好やライフスタイルなど、顧客にまつわるあらゆることに大きな変化が生じています。一方で、今後5Gの実用化によってデジタルマーケティングはもちろん、コマース全体に大きな変化が訪れる、との指摘もあります。電通アイソバー(現 電通デジタル)ではどのような取り組みを始めていますか?

坂:5Gによって今まで考えられなかったような大容量のデータが授受できるようになれば、よりリッチなクリエイティブを展開できるようになるでしょう。例えば、VRを活用して、自宅にいながらにして店舗のなかを歩き、気に入ったものを手に取るような体験もできるようになると言われています。

私が所属するプラットフォームコンサルティング部でも、ナショナルクライアントや海外ブランドの日本国内展開でのプロジェクトで、5Gを見据えた新しい取り組みをしています。

例えば、壁面に投影された商品をその場で購入すると自宅に届く、という実験的な取り組みをしてみました。これは、5G時代のOMO(オンラインマージオフライン)の手法になるかもしれません。

Zoom

他にも、ボイスコマースやサブスクリプションモデルの展開、サイト上でオーダーメイドプロダクトを注文するなどの取り組みは、5G時代にはより身近になり、eコマースはリアルな店舗や空間と同じくらい重要なタッチポイントになっていくと見通しています。

このような時代には、どのようなデータを取得し、どのようなCXに活用するか、といったプラットフォームの構成とその先のプランニングの重要性も高まっていくと考えられます。私たちは、顧客とのコミュニケーションで生じる“障壁”をなくすことで、良質なCXを展開できるようにクライアント企業を支援していきたいと考えています。

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