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2021.09.08

デジタルが支えるインターナルコミュニケーション 〜いかにしてポストコロナを見据えた社内ポータルサイトを構築するか?〜

テレワークやフリーアドレスのオフィスが珍しくなくなった今日。多くの企業が、社員同士のコミュニケーションの促進や、会社とのエンゲージメント維持のために、インターナルコミュニケーションにも力を入れるようになっています。

さまざまな方法が考えられますが、インターナルコミュニケーションを活発にするための“場”として、社内ポータルサイトは優れた存在だと言えるでしょう。しかし一方で、UI/UXが数年前から変わっておらず、ユーザーが使いづらいと感じているケースも少なくないようです。

では、望ましい社内ポータルサイトへとリニューアルするにあたり、注意すべき点や実作業を進める上でのポイントとはどういったものなのでしょうか? 電通デジタルが携わったある事例をもとに、解説します。


社内ポータルサイトを再評価する動きが出始めている

社内ポータルサイトといえば、「各種申請や勤怠情報の打刻、経費精算などの事務作業を行なうアプリケーションへの入り口として開く」あるいは、「社内向けのニュースや告知等を閲覧する時に利用する」といった利用シーンを思い起こすものでしょう。

しかし、コロナ禍以降、この社内ポータルサイトを再評価する動きが活発化しているようです。今回取り上げる事例も、コロナ禍で減ってしまった社員同士や社員と企業のコミュニケーション機会を増やしたり、組織内のシナジーを高めたりするべく、「社員にとって理想的なポータルサイトとはどのようなものか?」を考え、それを体現するようなものにアップデートするために社内ポータルサイトのリニューアルプロジェクトを立ち上げ、そのパートナーとして私たちを指定してくださったケースです。

攻めのインターナルコミュニケーション実現のために

本事例では、経営陣らが中心となって議論が重ねられた結果、「社内外で次々とイノベーションを起こしていくための統合プラットフォームにする」との大きなビジョンがすでに決まっていました。このようにトップが主導して取り組むことは、「インターナルコミュニケーションを重視している」というメッセージを社員全員に示すことにもなると考えられます。

上述のビジョンを受けた私たちに課せられた使命は、「日々のコミュニケーションの中で社員間をいかに刺激し、業務への意欲を高め、アイディアを刺激するか?」といった視点をもってサイト全体を設計していくことでした。

ビジョンをもとにプロジェクトチームで議論し、サイト内の構成要素を「つながる・気づく・動きだす」の3つのコンセプトに分け、今までバラバラだったツールへの入り口やデータを分類して整理していくことになった本件。

例えば「気づく」の要素としては、案件事例を公開して、ナレッジシェアを促進することを想定し、まったく関わることがなかった部署や社員のことを知ったり、そこに掲載されている内容を先行事例として横展開可能なエッセンスを活用する、という機会が生まれることまでをイメージしました。
企業規模の大小にかかわらず「自社の事例の詳細を知らない」ということが起きうるからこそ、社内ポータルサイトで取り上げる意味があるというわけです。

一方、「動き出す」には、日々の業務で避けては通れない事務作業をサポートするアプリケーション類を集約し、事務的なことはスムーズに処理してクライアントワークの時間を確保しやすくするように情報を整理しました。この要素には、「動き出す」社員たちをサポートする、という想いを込めてもいます。

多様な社員とそのニーズに応える社内ポータルサイトを実現するために

プロジェクトを進めるにあたって力を入れたのは、コンセプトに沿った情報整理やフロントデザインの検討だけではありません。私たちが重視したのは、社員のCXから議論することと、多くのステークホルダーの意見を聞いて巻き込んでいく、という2つのポイントです。以下に、実際の進め方に沿って詳しく解説していきましょう。

まず取り掛かったのは、コーポレート部門や営業部門など、プロジェクトを推進するチームの社員以外にも積極的にヒアリングをしたり、ワークショップを開催することです。

このワークショップは、社員の1日はどのようなものかを想像して仮説を立て、その中で、「どんな機能があればより働きやすくなるか?」を考えたり、「こういう機能があれば楽しく仕事ができるのではないか?」といった話を聞かせてもらう機会としました。

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そこで得られた意見と先述のコンセプトとを掛け合わせて、社内ポータルサイトを利用する社員たちにとっての優れた体験とはどんなものか? どういう機能があればより良いのか? といった議論を、顧客体験(CX)の戦略設計を担う専門チーム全体で検討し、あるべきUI/UXに落とし込んでいきました。

この取り組みはインターナルコミュニケーションの“場”となる社内ポータルサイトをより良くする上で欠かすことのできない過程だと言えるでしょう。それというのも、営業部門やコーポレート部門など、普段の業務ではUI/UX設計にあまり携わらない方たちに積極的にワークショップに参加してもらうようにすることで、意見や要望などが偏ったり、特定の職種の人だけが使い勝手がいい、となりすぎないように配慮できるためです。

また、こうした取り組みによって、UI/UXの最適化だけでなく、社内ポータルサイトのリニューアルを自分ごと化して捉えてもらうことにもなると考えます。

同時に、プロジェクトを進める上で注意したいのが、利用する人達のレビューやフィードバックの機会を増やすことです。これには、働く環境を良くするプロジェクトを自分ごと化してもらえれば、リリース後の利用率も上がる、という狙いも含まれています。

ただ、そうした機会を作っても、その取り組みがセレモニー化してしまうケースもあるとの声も聞かれます。では、単なる「見せるだけ、やっているだけ」のセレモニーにしないためにはどうすれば良いか?

私たちは、「多くのステークホルダーの意見を聞き、巻き込んでいくこと」こそ重要なポイントだと考え、プロジェクトを推進しているチームがこれをしっかり意識する必要があると考えてきました。また、ヒアリングする機会は一度きりにはしないことも大切です。

一般的に、ウェブサイトリニューアルやアプリ開発などでスケジュールを引く際、ユーザーインタビューやレビューをいつ行なうかは設定されていなかったり、一度や二度程度と極めて少ないものだと思います。

しかし、私たちの取り組みでは、スケジュールを引く際、「要件定義」や「画面設計」といった時々に応じて、ユーザーの声を聞くタイミングを明記するようにしています。これを節目ごとに行なうことで、先ほど示した「セレモニー化してしまう」という問題が解消しやすくなると考えます。

社内はそもそも「多文化であること」を忘れてはいけない

ここまで述べたように、実際に社内ポータルサイトを活用する多くのユーザーの意見を丁寧に受け取ることは間違いなく大切です。一方、それと同じくらい、社内ポータルサイトだからこその強力なステークホルダーからの意見もしっかりと受け止める必要があります。これは、社内ポータルサイトのようなインターナルコミュニケーションに関するサイトを構築したり、リニューアルする際の特徴的なことだと言えるでしょう。

例えば、勤怠管理のアプリや社員検索といった機能は一般的には総務部や人事部が主管部署になっているものですが、そこへのヒアリングは非常に重要で、こちらが想定していないさまざまなことに気付かせてもらう機会になります。

本件でも、社員検索の機能を実装する際の打ち合わせで、「この項目は出さないでほしい」と言われたことがありました。当初はそれを表示しない方がいい理由はわかりませんでしたが、「社内に派閥を生む」「区別する意識を助長する」といった懸念点を聞かせてもらうことで、項目を消すだけでなく「それならばここも注意が必要」といった判断がしやすくなりました。

社員のダイバーシティが高まればインターナルコミュニケーションの重要性はさらに高まる

社内ポータルサイトには企業文化が色濃く反映されるのと同時に、国や地域の文化や価値観が反映される可能性があるのだとあらためて気づく機会もありました。印象的なことを挙げるなら、「欧米では学歴を公開することに抵抗感を感じない人が多いけれど、日本ではそうではない」ということです。

こうした文化の違いを感じることは、海外企業をM&Aで買収したり、社員のダイバーシティが高まったりと、あらゆる場面で多言語・多文化化のニーズが高まっている日本企業でも、今後ますます増えていくはずです。

社内ポータルサイトも、英語や中国語のほか多言語化対応が求められるようになると見通されます。また、この延長線上には、「社内ポータルサイトのリニューアルを検討したい」という議論も見えてきます。

多言語に対応するだけでなく、文化性を考慮しつつ社内ポータルサイトのトーン&マナーを統一していくのは決して簡単なことではないでしょう。それでもプロジェクトを前に進めるのに重要なのは、いろんな立場やバックグラウンドを持つ人とコミュニケーションしながら作っていくことなのだと考えます。

先ほど、さまざまな部門部署の人にワークショップに参加してもらったとお伝えしましたが、そうした機会をいかにして作るかが重要だ、ということです。

そして、それを受けて実際にプロジェクトを進める私たちは、情報の整理をするスキルだけでなく、データやデジタルに関する知識、ステークホルダー全体を同じ方向に進める際に相互理解を促すコミュニケーションスキルも必要とされているのだと感じています。

私たちはクライアントのインターナルコミュニケーションを推進するプロジェクトを支えるパートナーとして、テクニカル領域の理解や徹底的にユーザー目線で優れた体験を設計するスキルなど、多岐にわたる対応力を磨いていきます。

「CX UPDATES」では、社内ポータルサイトのリニューアルほか、UI/UXに課題を感じている企業のマーケターの皆さんのお役に立つように、事例のエッセンスをもとにどのようなアプローチで課題解決を行なったかをお伝えしています。

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