メインコンテンツに移動

2020.12.01

認知獲得からロイヤル化まで〜LINE×MA + 良質のCXで実現する、顧客エンゲージメントの最大化〜ウェビナーレポート〜

日本において顧客とのコミュニケーション手段として欠かせないツールとなったLINE。そして、データを活用し顧客ごとに最適な 1 to 1 コミュニケーションを実現するMAツール。どちらも多くの企業が顧客エンゲージメント向上を目的に導入・運用していると知られています。 しかし同時に、「いまの活用方法で本当に使いこなせているのか?」と感じているマーケティング担当者は少なくないようです。 加えて昨今、オフラインの顧客接点が限られていることもあり、改めて、 ●LINEとMAツールをいかに連携して一貫したコミュニケーションを行なうか?  ●どのようにして「心を動かす」良質な顧客体験(CX)を提供するか?  これらを考えることが求められていると言えるでしょう。 そこで企画したのが、ウェビナー「認知獲得からロイヤル化まで LINE×MA + 良質のCXで実現する、顧客エンゲージメントの最大化」です。 本稿では、クロスチャネル施策に強みを持つMAツールであるAdobe Campaign Standard(ACS)とLINEとを組み合わせて実現する顧客データを活用したコミュニケーションの実現方法について、豊富な事例を交えて考察した内容をレポートします。


優れたCXとは何か?

まず、「LINE×MAで実現する、顧客エンゲージメントの最大化」と題したセッションを担当した、電通アイソバー(現 電通デジタル)のデータデザイン部 プロジェクトディレクター 谷米竜馬は、良質なCXを考える上で、「サービスや商品を提供する企業と顧客間の信頼関係を意味する『顧客エンゲージメント』が重要である」と指摘し、その信頼関係が作られるプロセスを自身がモノを購入するときの流れを例に挙げて次のように解説しました。
「例えば、新しい釣り棹がほしいと思ったら、私はGoogle検索でメーカーのサイトやアマゾン、YouTubeなどでスペックや値段を確認する。また、釣り仲間に相談して評判を聞き、それらを総合して気になるアイテムを絞り込んでいく。そして、『本当に買う必要はあるのか?』という自問自答や『やっぱり気になるな…』といったグルグルと迷うプロセスに突入する。
その間、もし企業からおトクな情報が盛り込まれたLINEメッセージやメール等が届けばより気になるだろうし、念のため実際の店舗や中古市場で安く手に入ることを知ったとしても、有益なメッセージやメールをくれた企業から購入してもいいかな、と考えるようになる。
このように、企業からのアプローチが意思決定に作用することは多くの人にとって『たびたび体験すること』だろう」。

谷米が示した購買行動(上図)を詳しく見ていくと、あらゆる顧客接点で優れたCXを提供することは、顧客と企業の信頼関係を深めていくことに繋がると改めて理解できるでしょう。だからこそ、企業は優れたCXを十分に検討する必要がある、というわけです。
ただ、そうは言っても、優れたCXとはどういったものか? 把握しておかなければ実践は難しいでしょう。電通アイソバー(現 電通デジタル)では、「優れたCXはいつも2つの矢印でできている」と考え、以下のように整理しています。

上記の通り、優れたCXは、顧客の心を動かす「Motivation」とスムーズにゴールに向かうためにハードルを下げ、障壁をなくすよう整える「Frictionless」を同時に実現することだと言えます。
そのため、企業は顧客と向き合い、「顧客にとって何が『Motivation』となるのか? そして、ゴールに向かう上で障壁となるものをなくす『Frictionless』な状態はどうすれば整うのか?」という問いと、「自社の製品/サービスと、市場ニーズを結びつけるために、どのような体験を提供する必要があるのか?」ということの解を同時に探っていく必要があります。
特に、今日の既存顧客は「私がすでに購入したものの情報を知っているはずなのだから、私の好みやほしいと思うものを企業側は把握してくれているはずだ」と感じているでしょうし、新規顧客も「私がこれまでサイト内で探していた商品の傾向を踏まえて適切なオススメをしてほしい」というように、高度にパーソナライズされた体験を期待する傾向が高まっています。
企業は顧客の期待に応じるためにも、「顧客が満たされていないと感じているニーズなどを解決するために、彼らがもたらしたデータをうまく活用してより詳しく顧客を知る必要がある。つまり、顧客とサービスに関するありとあらゆるデータを利活用することが不可欠であり、それが優れたCX提供の鍵になるとの発想が必要だ」と、谷米はまとめました。

Adobe Campaign StandardとTONARIWAで実現できることは?

しかし、冒頭にも少し触れた通り、LINEやMAツールを導入していたとしても、ツール間でデータが共有できておらず一貫したCXの提供が難しくなっているケースや、データを連携していたとしてもLINE経由で発信するメッセージは一斉配信など一部の機能しか使用しておらず結果的に課題を抱え込んでしまっているという企業は少なくありません。

そのような課題を解決する手段のひとつになり得るのが、「MAツールであるAdobe Campaign Standard(ACS)と、電通アイソバー(現 電通デジタル)が提供しているLINE配信ツール『TONARIWA(トナリワ)』の連携」です。
TONARIWAとは、電通アイソバー(現 電通デジタル)が、年間100を超える豊富なプロモーションの実施と、これまでの数多くの運⽤コンサルティングの実績から得たノウハウを生かし、キャンペーン活⽤からCRM活⽤まで、LINEアカウントの効果を最大化するための多様なニーズに応えることができるメッセージングプラットフォームとコミュニケーションサービスの総称です。
どのように活用できるのか、「友だち登録してもらうための施策」を例に紹介しましょう。
自社とのエンゲージメントが高いファン(=質の高い友だち)とより多く繋がるため、従来は「無料のスタンプ配布やキャンペーンを展開する」という施策がスタンダードだったと言えます。
ただ、この方法では、サービスや自社にあまり関心がないけれど無料のスタンプは欲しい、というユーザーをたくさん集めることになるので、一度友だちになってくれたユーザーを自分たちのサービスに興味関心を持つようにコミュニケーションし、エンゲージメントを高めていかなくてはなりません。
しかし、TONARIWAを活用すれば、例えば会員登録時の電話番号を利用してLINE通知メッセージを通じたコミュニケーションが可能になり、すでに自社に関心が高い(=質の高い友だち)友だち獲得をよりスマートに実現できるようになります。
また、LINE上ですでに友だちになっている人を専用フォームに遷移させ、あとから自社IDに紐づけるといったステップも不要になると考えられます。

さらに、データを活用したきめ細やかなコミュニケーション施策の実現もTONARIWAならより簡単に展開が叶います。
今までは配信者リストに向けて一斉配信するため、全員に同じ時間に同じコンテンツが届く、パーソナライズとはかけ離れたコミュニケーションになっていたことでしょう。しかし、TONARIWAをベースに、1stパーティデータを中心としたデータを活用し、顧客一人ひとりのタイミングや興味に沿ったコンテンツを提供していくことができます。

システム連携も、MA側(ACS)で、データの集約とシナリオ部分、顧客に紐づくデータを集約し、対象条件に合致する人をリスト抽出した上で、それをもとにTONARIWA側で配信管理(CSVファイル連携、トナリワAPIいずれか)すれば、顧客データをうまく使った配信ができるというようにシンプルな設計です。

実際に施策展開している例について、谷米は、「データを活用した1 to 1のLINEメッセージでコンバージョン率が向上した」とし、アパレルeコマースの事例を紹介しました。

お気に入りに追加した商品がプライスダウンした、再入荷アイテムがある、カートにある商品の在庫減のアラート、商品の発送通知といった、顧客ごとに異なるメッセージをACS×TONARIWAで実施したという本ケースは、ACSの特徴であるクロスチャネルの1 on 1のコミュニケーションに日本のコミュニケーション手段として欠かすことができないLINEを迅速に接続することが可能になった点が注目に値するでしょう。

実際の施策と効果

前述の取り組みによる効果について、検証の方法を含めて谷米は以下のように紹介しました。

――資料請求からLINEの友だち化を促し、丁寧なコミュニケーションを行なった事例

当該の企業では、顧客の大多数がはじめに資料請求(商材カタログまたはwebサイト経由)を行ない、その後に商品を購入する2ステップモデルであることに着目。通常通り資料を紙冊子やメールで送ることに加え、資料請求を受けた際に登録してもらった電話番号等の情報を利用してLINEで友だち登録するように顧客に促すステップを追加し、LINEで友だちになった資料請求者の方が従来の資料請求者よりコンバージョン率が高くなるかどうか、検証しました。

上図のシナリオ施策イメージのキモは、「電話番号が分かっていれば友だちとして登録されていなかったとしてもLINEを送ることができる」という通知メッセージの機能を活用することです。実際に、資料請求フォーム入力時に記載してもらったメールアドレスと電話番号を活用してLINEで「資料請求完了」の通知を送ってみたところ、メッセージを受け取るだけでなく、これがきっかけになって友だち登録をしてくれるケースも多々あり、より質の高い友だち登録数を伸ばすことができました。

さらに、友だちになってくれた問い合わせ客に資料請求のフォローを行なうことに。このとき、①LINE +メール、②LINEのみ、③メールのみ、④施策なし、という4パターンに分けてメッセージの効果を検証したところ、①のユーザーのコンバージョン率が最も高くなりました。
これらのことから、最も身近なコミュニケーション手段であるLINEと問い合わせ客に有益な情報を都度出していくことが優れたCXとして受け入れられ、企業が望む成果に結びつくという道筋が見出されました。

ソーシャルメディアとMAを連携させて良質なCXを提供するファッション・コスメブランド

谷米のセッションに続き、「ニューノーマルにおけるCXデザインとは〜拡張するソーシャルプラットフォームの活用〜」をテーマにソーシャルメディアとMAツールを連携させてもたらす良質なCXの事例について語ったのは、電通アイソバー(現 電通デジタル) エクスペリエンスデザイン本部 プランニングディレクターの神澤由利です。
最初に神澤は、「なぜ、ファッション、コスメブランドなのか? との声もありそうだ。ただ、製造から小売までを一挙に行なう業態が多いファッション・コスメブランドは、消費者のニーズや変化をいち早く察知して対応してきた積み重ねがある。また、新型コロナウイルスの影響で店頭でのコミュニケーションが難しくなった今日、ニューノーマルにいち早く対応して工夫を繰り返してもいる。今回紹介する事例はその一例だ」と述べ、認知・エントリー獲得フェーズから顧客のロイヤル化までの4つのフェーズにわたって詳細な事例を交えて紹介しました。

参考記事 

●グッチやルイヴィトン、MULBERRY、プラダによる顧客のロイヤル化フェーズの事例

 

上述のように様々なアプローチが試されている今日、一歩踏み込んで「LINEを始めとするソーシャルメディアをプラットフォームとし、MAツールと連携させることでオフラインならではのカスタマージャーニーを検討する必要がある」と、神澤。
これまで考えられてきた認知・エントリー獲得フェーズから顧客のロイヤル化までの4つのフェーズを段階的に経験するのではなく、ブランドの認知から購入までの距離を短縮し、デジタル上でのよりリッチな体験からシームレスな購入に進めるのがニューノーマルのCXになる、との考えを述べました。

また、「ソーシャルメディアを単なるブランディングのみのツールとしてだけでなく、プラットフォームとして活用し、購買に結びつける発想が必要だ」とし、
「ソーシャルコマースでは、インフルエンサーが薦めた商品を衝動買いする『購買フェーズ』から始まるカスタマージャーニーもあり得る。そうしたインフルエンサーがきっかけで購買してくれた顧客をいかに自社の顧客にしていくか考える中で、購買フェーズのあとに認知・エントリー獲得フェーズのコミュニケーションが必要になるといったこれまでになかったことも起きるかもしれない。
今後、フェーズをショートカットしたり逆戻りすることも含めてカスタマージャーニーを考え、良質なCXを提供できるようMAツールによる顧客データの適切な活用やLINEによる最適なコミュニケーションをしていくことが重要だ」と、締めくくりました。

オンラインならではのカスタマージャーやソーシャルコマースの特徴などについて、より詳しくご確認いただけます。

オンラインセミナー動画はこちらよりご視聴いただけます。

谷米 竜馬 Ryoma Tanigome

プラットフォーム&データ本部 / プラットフォームコンサルティング部 シニアデータマーケティングコンサルタント
データドリブンなOne to Oneコミュニケーションの実現を支援するコンサルティング業務に従事。
国内大手メーカー、製薬、EC、教育、不動産などB to BとB to Cの両領域に対し、マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入・運用支援から顧客コミュニケーションの立案、施策結果の検証を含む一連のPDCA業務をしてサポート。

記事一覧

神澤 由利 Yuri Kamisawa

エクスペリエンスデザイン本部 / ソーシャルエクスペリエンスデザイン部 ソーシャルエクスペリエンスデザイン部 室長
SNS(Facebook, Instagram, Twitter, LINE, Tiktok)を中心にSNS戦略、コミュニケーションプランニング、全体を統括するプロジェクトマネジメントとして従事。
顧客インサイトをベースにしたブランドコミュニケーションプランとそのPDCAが強み。
ラグジュアリーブランド、コスメブランド、アパレルなどの女性商材から、製薬、食品、飲料メーカーなど様々なSNSの課題に取り組む。2013年に電通アイソバーに参画。

記事一覧

CX UPDATES TOP