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2022.06.06

ブランドのCXを向上させるカギは、コンテンツの分割・短文化にあり

B2B、B2Cを問わず、ブランドのCX(カスタマー・エクスペリエンス)を向上させるために、伝えたいコンテンツを短文化させるといった、短い文章によるコミュニケーションを意識している企業が増えています。今回の記事では、メッセージの発信形式や頻度を考慮することで、CXをどのように向上させられるかについて、カーダー ジェネッサが考察します。


脳は短いメッセージの方が理解しやすい

人と人がテクノロジーを使ってメッセージをやりとりする手段は、電報、電話、ファクス、メール、チャットツール(ソーシャルメディア)という流れで進化してきました。

電報の通信料金は文字単位の従量課金制でした。人々は通信料を節約するために、略語を組み合わせたり、文章を簡略化した記号を使用したりして、短文でやりとりしていました。

現在は、電報が主流だった時代に比べて飛躍的にテクノロジーが進化し、技術的には安価で十分に長い文章を送れるようになっているにもかかわらず、デバイスはごく短いコンテンツを配信するよう進化しています。実は、人間の脳にとっては、短いメッセージによるコミュニケーションの方が理解しやすいのです。

ソーシャルメディアでは、短文形式のコンテンツが中心になっています。長いストーリーテリングが可能なチャネルはほとんどありませんが、もちろん例外はあります。Twitterは複数のツイートをつなげて表示させることができますし、Instagramでは15秒間の「ストーリー」をつなぐことにより長いコンテンツを伝えることができます。

コンテンツの短文化は、ソーシャルメディアだけの話ではありません。

B2B、B2Cのどちらのブランド・エクスペリエンスでも、短文のフォーマットを採用しているところが増えています。長編のコンテンツを小分けにし、シリーズものとして展開できるよう、アプリケーションも進化しています。

そうすることで顧客をブランド・エクスペリエンスに何度も呼び戻す「sticky factor(粘着性がある/惹きつける要因)」を創出しているのです。ユーザーにとっても、長い小説を読んだり、何時間ものトレーニングを受けたりといった大きなタスクを細分化してこなすことができるため便利です。

コンテンツを短く分割して発信するメリット

電報が短い文に小分けにして届けることで長い情報を伝えたように、コンテンツを分割して発信することも可能です。

Radishはユーザーに本のページを少しずつ配信する「図書館」サービスです。どんなに分厚い本でも、一度に数ページずつ読んでいけば、1冊読めてしまうのです。

ある調査によると、私たちは1日に150回、スマートフォンのロックを解除するそうです[1]。皆さんも部屋から部屋への移動中や、次の行動に移る前のわずかな時間に、携帯電話のロックを解除して使用することが多いのではないでしょうか? 一度に画面を見る時間はそれほど長くないのです。

常に動き続ける「モバイル」な世界では、限られた時間の中で画面を見ることが多いため、コンテンツは小分けにして発信するのが最適です。コンテンツを少しずつ発信するような設計にすれば、ユーザーはスキマ時間を利用してコンテンツを受け取り、消費することができます。

企業研修を短文テキストで行うサービスも

Aristもテキストベースのコンテンツを配信する会社です。同社は、電報を彷彿とさせるような短文のテキストメッセージを用いた企業研修を行っています。

企業研修のような大きなタスクを、1回5分もかからずに読み終わるテキストに分割して配信しているのですが、その最大のメリットは、受講者の心理的な負担の軽減です。

人は大きなタスクを前にすると、圧倒されてやる気を失うものです。特にコンピューターに張りついている時間が長い現代では、1時間以上かかるタスクは心理的な重圧が大きすぎます。心理学では、タスクを完了することの報酬があまりに遠く感じられ、完了できるかどうか不安になると、取り組むのを先延ばしにする人が多いとされています[2]

それに対し、小さなタスクはすぐに完了するため、苦痛はほとんどありません。

企業研修などの義務的コンテンツを短いテキストメッセージで配信すれば、受け手は文字どおり「終わりが見える」ため、取り組む際の苦痛をほとんど感じずに済みます。とても無理だと思えるものでも、小さなタスクに分ければこなせるようになるのです。

ブランドからのメッセージは形式や頻度を考慮すべき

かつて、黎明期のコミュニケーション理論の専門家マーシャル・マクルーハン(1911~1980)は、「メディアはメッセージである」と述べました。

「メッセージを発信する際にどのチャネルを選択するか、その選択自体がメッセージである」という意味ですが、メッセージの伝達手段がさらに増えた今日でも、相変わらず的を射ています。

ブランドからのメッセージは「どのチャネルで発信するのか」に加えて、発信形式や頻度を考慮すべきです。ブランドとコミュニケーションスペシャリストは、UX(ユーザー・エクスペリエンス)とコンテンツ戦略の融合がいかに長期的なロイヤリティとエンゲージメントを高めるかに配慮しなければなりません。

コンテンツチームとエクスペリエンス(UX、CX)チームの融合を検討されたことはありますか? 電通デジタルでは、コンテンツチームとエクスペリエンスチームが相互に影響を与え合うことができるよう、異なる分野の専門家からなるチーム編成を行っています。

また、定期的にイノベーションセッションを開催し、今回ご紹介したような他業界の参考事例や消費者動向から得たインスピレーションをもとに顧客のCX変革を支援しています。弊社のサービスやパートナーとしての役割の詳細についてはコミュニケーションページをご覧ください。

脚注

1.^ "These Updated Stats About How Often You Use Your Phone Will Humble You". Inc.(2019年11月19日)2022年5月9日閲覧。

2. ^ "Why You Procrastinate (It Has Nothing to Do With Self-Control)". New York Times.(2019年3月25日)2022年5月9日閲覧。

カーダー ジェネッサ Jenessa Carder

CXストラテジー本部付 シニアエグゼクティブストラテジープランニングディレクター
電通アイソバーにて、消費者体験(CX)戦略担当バイスプレジデント。美容、CPG、ハイテク、ヘルスケア、フィットネスなど様々な業界の世界中のクライアントに対して、キャンペーン、製品発売、デジタルエクスペリエンス、トランスフォーメーションプロジェクトにおいて10年以上のコンサルティング経験を持つ。

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