2021.04.21

魅力ある顧客体験(CX)の提供に必要なこととは? 個客へのアプローチ - パーソナライゼーションとカスタマイゼーションをハイブリッドし顧客体験を豊かに

isobarが昨年発行したホワイトペーパー*1で、コロナ後のクリエイティブ・エクスペリエンスについて各国1350人のCMOにインタビューした結果がまとめられています。その中で全CMOの63%が他社との差別化にパーソナライゼーションが不可欠な要素としてあげています。さらに魅力ある顧客体験を提供しようとするところから新しい形のパーソナライゼーションが生まれると認識しています。*1.CX Survey2020 ウィズ・コロナ時代のクリエイティブ・エクスペリエンスとは

エクスペリエンスクリエイティブ部門
エクスペリエンスデザイン第1事業部
クリエイティブテクノロジスト

柴田 耕次

※所属・役職は記事公開当時のものです。

パーソナライゼーションとは?

パーソナライゼーションとは、顧客一人ひとりのニーズに基づいてコンテンツを届け、その人に合ったエクスペリエンスを提供するものです。amazonは、ユーザーの閲覧履歴や購買履歴を元に嗜好にあった商品をレコメンドしています。オンラインで買い物をする人の53%はパーソナライゼーションが大切だと認識しており、57%はパーソナライゼーションのためなら個人情報を提供しても構わないと考えています*2。
*2.Invesp -Online Shopping Personalization – Statistics and Trends -

パーソナライゼーションと似た用語にカスタマイゼーションがあります。両者の違いはサービス内容を決める主体が、提供者側にあるか顧客側にあるかです。


カスタマイゼーションとは?

カスタマイゼーションとは顧客自身で、欲しい情報や製品が提供されるよう設定したり調整したりすることです。顧客自身に明確なニーズがあるときに有益です。近年、インダストリー5.0で重要なキーワードにマス・カスタマイゼーションがあります。マスプロダクションとカスタマイゼーションの合成後で、顧客の要望に応じながら大量生産を可能にするという意味です。例えばNIKE BY YOUは、一人ひとりの好みに合ったデザインの靴を作れるようにしました。これは、顧客ニーズをデータ化するところから、サプライチェーンを通じてユーザーに届けるところまで、一貫した設計が行われマス・カスタマイゼーションを可能にしています。

さらにパーソナライゼーションとカスタマイゼーションをカバーしたサービス・カスタマイゼーションは、一人ひとりに相応しいサービスを提供すること全般を指します。


パーソナライゼーション/カスタマイゼーションのデメリット

顧客の好みに対応するパーソナライゼーション/カスタマイゼーションですが、それぞれデメリットがあります。
パーソナライゼーション:企業が提供主体のため顧客自身の関与感が低く、本当に欲しいものが提供されたのか分からないこともあります。また状況・気分により望ましいものは変わります。特に今のようなコロナ禍では取り囲む状況の変化につれ、人のニーズにも変化が起きます。
カスタマイゼーション:顧客自身が選択するため、明確なニーズを示す必要があります。そもそも自分の欲しい物をはっきりと知っている人は少ないでしょう。そのような中で選択をしようとすると心理的な負荷が高くなります。多くの人はカスタマイズに時間を取られたくないと感じています。アプリ設定など、デフォルトで使ってしまう人が大半です。


サービス・カスタマイゼーションへのハイブリッドなアプローチ

電通アイソバー(現 電通デジタル)ではこうしたデメリットに対処するため、下記のようなフローで両方の良いところをハイブリッドしたサービス・カスタマイゼーションへのアプローチを取っています。

顧客情報の取得時、EC連動による購買履歴や画像認識による見た目など、自動で取得できる情報に、顧客自身の選択を加味することで、顧客に決定への関与感をもたらします。それらの情報により、機械学習をはじめとした診断ロジックによりタイプ判別、結果にもとづくレコメンドを行います。

Zoom

レコメンドされた内容はユーザーによる微調整が可能であり、顧客自身の興味や関心にフィットさせることができます。これは、例えば、バーで顧客との会話により提供物を決めていく過程、つまりバーテンダーがもつお客様情報と直感によるパーソナライゼーション、そして会話のインタラクションによるカスタマイゼーションに似ています。


ハイブリッドアプローチをOMOに適用し店鋪DXを行う。

このアプローチは、オンライン・オフラインをまたぐOMO(Online Merges with Offline)で使用すると顧客接点を豊かにすることができます。
オンラインで購入して、オフラインで受け取るBOPIS(Buy Online Pick-Up in Store)で使用した場合を考えてみます。
例えばバリエーションがたくさんあって、その日の気分で選べるおいしいサンドウィッチ屋さんがあったとします。でも実際のところ、こうしたお店での体験は、列に並んで待ち、選び方が分からず、後ろの人の視線を気にしてアタフタし、結局受け取ったものは、ほんとうに自分が欲しかった商品かどうか分からなくなることさえあります。
ここにハイブリッドアプローチをOMOとして組み込んだ場合、次のようになります。通勤途中にスマートフォンを使用し、その日の気分とセルフィー写真でカスタマーの今を判定し、その判定に過去の注文も含めてパターンを診断します。パターンに沿ってサンドウィッチをいくつかレコメンドし、その場で顧客自身がちょっと手を加えて、より好みにアレンジした上で注文、支払いを済ませます。また診断パターンのあれこれを知ることは通勤途中のお楽しみコンテンツになります。お店に到着すると待ち時間無しで商品を受け取ることができ、そのまま出社できます。
こうした過程を経ることにより、顧客としては、ストレスなく楽しく自分に合う商品を得る満足感があり、お店としては回転率を上げることが可能になります。
逆にオフラインで商品を品定めし、購入はオンラインで行うショールーミングストアでも、店頭デジタル端末との連携でこのアプローチを取ることが可能です。このように店舗DXを考える時に、このハイブリッドアプローチを組み込んだOMO施策は有効です。

電通アイソバー(現 電通デジタル)でのハイブリッド事例として、ロンシャンのポップアップでのコンテンツがあります。


AIを活用した診断で自分にピッタリのラッキーカラーを導き出す。

全720万通りのカラーパターンを誇る「マイ プリアージュ® シグネチャー」で 、“自分色”を探すヒントとして提案型の診断コンテンツを制作しました。

Zoom

この診断は、趣向や好みを探るいくつかの質問と、性別、年齢、服の色などの情報をカメラの画像認識で判定し、カスタマーにぴったりのカラーを導き出してくれるデジタルコンテンツです(※現在は終了)。

パーソナライゼーションもカスタマイゼーションも、これまで以上に一人ひとりのお客様(個客)にサービスを届けることが重要になっています。電通アイソバー(現 電通デジタル)では両方の良いポイントをハイブリッドさせ、より個客が選択することを楽しめるようになる施策を実行しています。
またOMOに、このハイブリッドアプローチを組み込むことで、より個客に寄り添った体験の提供とつながりを作り、店鋪DXを成功に導きます。

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