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2021.06.28

ソーシャルコマース成功のカギはやっぱりCX(顧客体験) 〜LINE活用の成功事例から見えてきたこと〜

コロナ禍以降、eコマースの領域では、ライブコマースやオンライン接客といったソーシャルメディアを軸に、購買までの体験を創出する「ソーシャルコマース」が勢いを増しています。しかし一方で、「どのソーシャルメディアをどう活用すればいいのか?」「どのような準備が必要なのか?」といった課題を抱えている企業や担当者の方々も少なくないようです。

そこで本稿では4月22日に開催された株式会社電通主催のDo! Solutions ウェビナー「SNSとECが融合した新時代のマーケティング戦略」にて電通アイソバー(現 電通デジタル)ソーシャルエクスペリエンスデザイン部 シニアプランニングディレクター 神澤由利が発表した内容を元に、LINEを活用したソーシャルコマースを実践するポイントをお伝えします。


ソーシャルコマースでLINEを活用する理由は?

まず、数あるソーシャルメディアの中から、プラットフォームとしてLINEを選ぶ理由についてあらためて整理しておきましょう。
LINEは日本の人口のおよそ7割にあたるユーザーが利用しているソーシャルメディアです。MAU(月間アクティブユーザー)は8,600万人を超え、日常生活のコミュニケーションツールとして最も浸透している、とも言われるほどです。
圧倒的なリーチ力に加え、ユーザーがモチベーション高くシームレスなコマース体験がしやすいことから、「ユーザーとの『深いつながり』を実現できる」とし、チャットによるOne to Oneのコミュニケーション等、企業が様々なアイディアで施策を展開しています。

LINEを活用したソーシャルコマース事例1 サントリー「TOUCH-AND-GO COFFEE」

電通アイソバー(現 電通デジタル)でも、クライアント企業とともに、LINEをプラットフォームとして優れた顧客体験(CX)を展開する取り組みを続けてきました。その中でもユニークな事例のひとつが、サントリー様の「TOUCH-AND-GO COFFEE」です。

「TOUCH-AND-GO COFFEE」のサービスは、事前注文や決済だけでなく、240通りのコーヒーカスタマイズ、受け取り時間やボトルデザインも自分で決められるという、テイクアウト専門コーヒー業態をLINE上で実現する、というものです。
サービスの設計にあたって最初に重視されたのは、「ターゲットとなるユーザーは日頃どんな行動をしているか?」という点でした。これを明らかにし、中心に据え、コーヒーを自分好みに「カスタマイズできる」という能動的でワクワクできる価値や、直感的に注文から受け取りまでが可能なUX・UI設計を丁寧に行なっていきました。

「能動的でワクワクできる価値」を実現するには、プラットフォーム(LINE)の機能をどのように活用すればいいか、といったテクノロジー領域の知識と実装力が欠かせません。

この部分には、LINEが提供する各種法人向けサービスの販売・開発のパートナーを認定する「LINE Biz Partner Program」の「Technology Partner」のコミュニケーション部門において「Silver」を受賞したこと。また、同カテゴリーにおいて、機能・サポート分野ごとに認定する「認定バッジ制度」で「OMO」としてバッジを取得し、「Planning Partner」にも認定された、という電通アイソバー(現 電通デジタル)の知見がうまく機能したと言えるでしょう。
またTangrams Strategy & Effectiveness(以下、Tangrams)においてe-commerce部門のUser Experience分野でブロンズを受賞しています。

そうして顧客を中心にアイディアとテクノロジーを融合させ、LINEをプラットフォームとして展開した「TOUCH-AND-GO COFFEE」。テスト販売時には、メディアプロモーションを一切しなかったにもかかわらず、Twitter立ち上げから1ヶ月で16,000リーチを記録するほどの話題を創出しました。

神澤は、「サービスが定着していく中で、自分がカスタマイズしたコーヒーを楽しむだけでなく、自分の“推し”の名前のドリンクを注文してSNS発信するなど、ユーザーが新しいアイディアを試してくれるようになった。テスト販売では完売が続き、売り上げは計画の倍以上(初月)を記録した。LINEで注文決済という体験をTwitterでシェアするというソーシャルメディアの垣根を超えた現象も起こるなど、ブランドとユーザー体験の融合が実現できたと言える」と、成果を紹介しました。

LINEを活用したソーシャルコマース事例2 LINEを“体験価値を提供するツールにする”と決めた「銀のさら」の挑戦

事例はユーザーに能動的なアクションを期待するソーシャルコマースだけではありません。
宅配寿司の「銀のさら」の取り組みは、LINEを活用した新しいソーシャルコマースを中長期的に進めていく際にうってつけの参考事例のひとつです。

クライアント企業である株式会社ライドオンエクスプレスホールディングス様から、「LINEを使ってコミュニケーションし、認知度を上げ、売り上げも伸ばしたい」とのご相談を受けたのはおよそ3年前のこと。

これに対し、電通アイソバー(現 電通デジタル)は、「ユーザーに『お寿司を食べたいな』という食事の検討から、注文、喫食後までのCXをLINEで提供する」との提案を行ない、そのアイディアを実践に移してきました。今でも最も重視しているのは、毎月、LINEのお友だちに送るメッセージの運用についてです。

神澤は、「どのようなタイミングでメッセージを送るか? どんな文言と画像を作るのか? また、“地味な”ことかもしれないが、どうPDCAを回してクリエイティブをブラッシュアップしていくか? これらの事柄をデータに基づいて改善をしていった」と、概要を紹介。
加えて、「クーポンを配布すると一時的な売り上げの拡大にはなるかもしれないが、クーポンがなければ注文するモチベーションが下がる、という好ましくない影響が起きるとの懸念があった。だからこそ、毎月のクリエイティブを細かに改善することが重要だった」と、この着実な取り組みの重要性を強調しました。

その成果として紹介されたのが、「平成最後の締め寿司」という配信メッセージについてです。

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お寿司と「平成の締めくくり」という節目の日というストーリー性を掛け合わせて喫食機会を創出したメッセージには多くの反響と注文があったと神澤。

「現在、『銀のさら』のお友だち数は370万人になり、LINEのメッセージに対する反応率はメルマガの3倍、LINE経由の売り上げはステイホームもあり昨年対比で160%UPになっている。この好影響は右肩上がりに続いている」としました。

ソーシャルコマース体験もCXを起点に考える

最後に神澤は、2つの事例を含めた電通アイソバー(現 電通デジタル)でのソーシャルコマース支援のアプローチ方法について、ベースとなる「4つのD」について紹介しました。
Discover・Define・Design・Deliverの頭文字をとった4Dは、次のように施策の実施に向けて、クライアント企業と電通アイソバー(現 電通デジタル)がどのようなステップを踏みながら、チームとして同じゴールを目指していくのか、整理したものです。

【4つのD】
● Discover(発見する)
クライアント企業のソーシャルメディアアカウントの状態などを見極め、ブランドビジョンの把握や目的、マーケティング目標を改めて整理。クライアントと同じゴールを目指す準備を行なう。
● Define(定義する)
目指すべきCXの全体像を定義して、全体におけるソーシャルコマースの定義を行ない、ロードマップを策定する。
● Design(設計、プランニングする)
導線設計やライブコマース詳細設計、SNSアカウント戦略設計等を行なう。
● Deliver(施策を実行、展開する)
ライブコマース、ソーシャルメディアアカウント運用、キャンペーン展開等の各種施策を実施し、効果を測定する。

電通アイソバー(現 電通デジタル)では、一施策だけでなく、企業・ブランドと一人ひとりの顧客が永く繋がり続けるための“特別な関係性”を生み出すために「何が必要か?」という問いに対し、4Dを通してCX全体を明確にした上で、ソーシャルコマースをどのように位置付けて展開していくのか、考え実践することが大切だと考えています。

神澤 由利 Yuri Kamisawa

エクスペリエンスデザイン本部 / ソーシャルエクスペリエンスデザイン部 ソーシャルエクスペリエンスデザイン部 室長
SNS(Facebook, Instagram, Twitter, LINE, Tiktok)を中心にSNS戦略、コミュニケーションプランニング、全体を統括するプロジェクトマネジメントとして従事。
顧客インサイトをベースにしたブランドコミュニケーションプランとそのPDCAが強み。
ラグジュアリーブランド、コスメブランド、アパレルなどの女性商材から、製薬、食品、飲料メーカーなど様々なSNSの課題に取り組む。2013年に電通アイソバーに参画。

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