2021.04.09

マーケティングプラットフォームを活用したチャネル横断ロイヤルティ施策の実現

コロナ禍が続く中、世界の情勢は驚くほど変化しました。在宅テレワークや、外出自粛によるEC利用率の向上など、オフラインベースからオンラインベースの生活様式に変化してきたことは、その最たる事例ではないでしょうか。しかし世界的に「With コロナ」と言われている中ではあるものの、先を見据えて考えると、オンラインに注力するだけで留まってはいられません。2021年夏には、延期された東京五輪・パラリンピックが開催される予定であり、オフラインの施策は改めて重要になってきています。残念ながら2021年も「After」と言える状況にはなりにくそうですが、「With コロナSTEP2」を考え、いち早く行動する必要があるのではないでしょうか。幅広い年代がオンラインを活用している昨今、オンラインとオフラインをシームレスに繋ぎ、相互に作用する施策を打ち出すことの重要さは、今更語るまでもないかもしれません。

これからお話するロイヤルティ施策は、「オンラインとオフラインをシームレスに繋ぐリテンション施策」として大きな結果を残した一つの事例です。

ロイヤルティという考え方

ロイヤルティとは、の説明に入る前にもう少し身近な事例で考えてみましょう。
2020年時点で、顧客が利用頻度や支払い金額に応じてベネフィットを受けられるサービスは多岐にわたっていました。
例えばクレジットカードに付帯する「ポイント」などはその代表例ですが、他にも近所のスーパー、クリーニング店、アミューズメントなど、フィジカルなポイントカードなどを発行している店舗が、皆さんの身近に存在するのではないでしょうか。
さて、本題に入りましょう。ロイヤルティとは直訳すると「忠誠心」です。
つまり、顧客がそのブランドをどれだけ愛しているのか。
前段でお話した「ポイント」は、顧客が利用すればするほど貯まるものであり、これはそのまま顧客のブランドに対する愛が数値化されたものと言い換えることができるでしょう。
ロイヤルティ施策とは、リテンション施策の中でも

  • 顧客の愛に応じた更なるベネフィットを提供する
  • 顧客の愛をさらにMotivateする

ことに注目した施策です。


マーケティングプラットフォームを活用したチャネル横断のロイヤルティ施策

これまでのお話の中で、

  • ポイントは顧客の愛が数値化されたものである
  • ロイヤルティ施策とは愛に応える、愛をMotivateする施策である

と説明させていただきました。
しかし、オフライン店舗、EC、コミュニティサイトなど、それぞれのチャネルで独立したベネフィットを提供するだけでは不十分です。

  • オフライン店舗に来店したことがECのベネフィットに繋がる
  • ECで購入したことがコミュニティサイトでのベネフィットに繋がる

など、冒頭でも述べたようにオフラインとオンラインのシームレスな相互作用が必要不可欠であり、各種チャネルを横断したベネフィットを提供してこそ真のロイヤルティ施策と言えるでしょう。


ここからは、私が担当したある嗜好品ブランドの具体的な事例の紹介に移りたいと思います。

Zoom

上図はロイヤルティ施策を実現するために構築した全体のシステム構成図です。
様々なチャネルの行動情報をトラッキングしポイントに反映する、
またそれらを一元的にDWH(データウェアハウス)に集約し、MAに活用するというのが基本概念です。
顧客を一意に識別するために会員登録をしていただく必要がありますが、以降は会員登録済みを前提に話を進めます。

本施策では、それまで独立して存在していたオフライン店舗、EC、コミュニティサイト、及びLINE / eDMを連携して、ロイヤルティレベルの算定、ロイヤルティレベルに応じた獲得ポイントの増額、及びベネフィットの提供を行っています。
これにより、

  • 各チャネルでの様々なアクションに対してポイントが逐次付与されるため、顧客のモチベーションがあがる
  • その結果、各チャネルを独立して利用していた方々が、複数チャネルで継続してアクションを行うようになる

という効果が期待できます。

以降はそれぞれのチャネルでのコミュニケーション、及び収集するデータの概要をご説明いたします。

[オフライン店舗でのコミュニケーション]
オフライン店舗では、LINE及びコミュニティサイトのマイページで表示される顧客のQRを来店時に読み取ることでチェックインをしていただきます。
この読み取りによってロイヤルティレベルをシステム側で取得し、ロイヤルティレベルに応じたポイント付与や、ドリンク・フードの提供など対面(F2F:Face to Face)ならではのサービスを提供します。
提供したベネフィットや、実際の購買情報などを取得します。

[ECでのコミュニケーション]
このブランドではECをWEB / LINEで立ち上げており、顧客は好みのチャネルから購買が可能です。
EC上ではロイヤルティレベルに応じたクーポンや友人の紹介コードを使用することが可能であり、WEB / LINEどちらで購入したのか、クーポンや友人からの紹介を受けているのか、といった購買情報を取得します。

[コミュニティサイトでのコミュニケーション]
コミュニティサイトはポイントの獲得や使用を促すことに特化しています。
一定期間ごとにキャンペーンを設け、ポイントの獲得、及びプレゼントへの応募によるポイントの使用を促します。
ロイヤルティレベルに応じたポイント獲得額の増額、限られた方にのみ公開されるプレゼントなどを設けています。
どういった獲得が積極的に行われたか、どういったプレゼントが積極的に応募されたか、などの情報を取得します。

[プッシュコミュニケーション]
各種チャネルのお得な情報や、ロイヤルティレベルに応じた特別なメッセージをeDM / LINEを通して半自動的に配信します。

上記でご説明した各種チャネルでのロイヤルティレベルに応じたコミュニケーションの実現にあたり、電通アイソバー(現 電通デジタル)では以下のように広範囲にわたって担当させていただきました。

  • 全体的なデータフロー定義のコンサルテーション
  • Loyalty Engine(ロイヤルティレベル、ベネフィットの管理エンジン)開発
  • Loyalty dashboard(Loyalty Engineに蓄積されたデータの可視化ツール)開発

上記の施策により実現できた成果としては、以下のようなものが挙げられます。

  1. ポイント獲得額300%増
  2. アクティブコンシューマー数50%増
    ※アクティブコンシューマー:直近1カ月に何らかのアクションを行った顧客
  3. ダッシュボードを用いた継続的なPDCAサイクルの実現

まとめになりますが、施策としては以下のようなものとなります。

  • 全てのチャネルのデータをDWHに集約
  • 顧客の行動に基づいたロイヤルティレベルを算定
  • 顧客それぞれに特別なベネフィットを用意
  • MAによってパーソナライズされたeDM/LINE配信

それに対して顧客は、プッシュやベネフィットを起点にまた新しいアクションをオンライン/オフラインを通じて行います。

このサイクルがきちんと回る環境を作り上げることこそが、顧客の愛をMotivateすることに繋がり、継続的にブランドを愛してくれる顧客を育て上げるのです。

電通アイソバー(現 電通デジタル)には、様々なソリューションを扱うプロフェッショナルが揃っています。

  • 話は分かったが、結局どんなソリューションを導入すればよいのだろうか
  • ソリューションを導入しているが、それぞれのチャネルが孤立してしまっている
  • データの一元化はされているが、うまくマーケティングに活かせていない

などといった疑問や課題をお持ちでしたら、是非一度お問い合わせいただければ幸いです。

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