「弊社サイトには、Googleアナリティクスがはいってますよ。」 と伺うことが多いですが、おおよそ「とりあえず」という枕詞が付くことが多いと筆者は感じます。PV、セッション、ユーザー数、CVR、CV数...定期的に確認が必要な基本指標は、Googleアナリティクス(以下GA)の場合は自動でデータ取得して、その数値をみる基本レポートを沢山用意してくれていて便利ですよね。 無償のアナリティクスツールを最大限使い倒して成果につなげるためには、導入時の計測設計やGAの管理画面での設定が大事です。 今回は、2020年秋版のGoogleアナリティクス 4 プロパティ(GA4)、Googleタグマネージャー(GTM)の導入作業フローを「これだけはおさえておきたい!GA4/GTM導入 基礎編」としてまとめました。新規導入を前提に作成しておりますが既存アカウントを保有されている方もGA4へのアップデートの参考にしてください。
※所属・役職は記事公開当時のものです。
GAを導入しよう!と決定したら、最初に行う事はこのサイトで「何をしたいのか(目的)」を定義して、「サイトのどの数字がわかれば、自分のビジネスの目的に役に立つのか(目標)KPI)」と「評価方法」をまとめます。
ブランドサイトの場合、GAの目標設定機能は利用せず、ユーザー数等の基本指標で判断されているサイトをみかけます。
例えば、そのブランドの理解を促すコンテンツを設置して、そのコンテンツをサイト全体のKPIやKGIに対して、ひとつの中間KPIとして目標設定します。そうすることで、それを達成するために施策を実施し数値の結果で評価する、そのコンテンツを閲覧有無により回遊の違い(意識が変容したか)を検証する、などのアクションをしやすくなり、改善点も見つけやすくなります。
目的や目標をきめてから、GAの計測設計をすることで、取得データが皆さんのビジネスに役立つようになります。どう設計したらわからない、等の疑問があれば弊社のようなアナリティクス導入を支援するコンサルに任せていただいてもよいと思います。すでに設定されている方も、定期的にKPIや目標設定を見直すことをおすすめします。
2.GAを開設しよう
サイトの目的やKPIを考えて、評価につかう指標をきめたら、次はデータ計測ソリューションを準備します。
※Googleアカウントが必要になります。Googleアカウントの作成方法については公式ヘルプを参照ください。
GAの新規アカウント開設は公式のスタートガイドを確認して開設し、プロパティを作成します。
※注意:GAを利用する前にGA規約を確認しよう
利用前に必ずGAの規約を確認します。特にプライバシーの第7章は必須です。(下記は2020年12月現在の内容です)
・Googleアナリティクス規約を熟読し、規約を遵守しましょう。
・利用制限について
今までのユニバーサルアナリティクスは、無償版の場合1か月あたり1,000万ヒットが計測上限となっていて、それ以上のヒット数となる場合は有償版を利用するよう推奨されています。新しいGA4プロパティの場合はヒット数の上限はありません。
(2020年12月現在、規約等に記載はありませんが、GA4のベースになったfirebaseもヒット制限がありませんでした。Google関係者のブログにもそのように記載があります)
参考ページ:Charles Farina's Blog
■プロパティを作成する
2020年12月現在、プロパティを新規設定する際、下記の2通りの方法があります。どちらを使うかを選択が必要です。
・Googleアナリティクス 4 プロパティ (2020年秋にβ版から正式リリースされた次世代のGAとよばれるもの、GA4)
・ユニバーサルアナリティクス(従来のGAとよばれていたもの、以下UA)
2020年12月現在、新規でGAを導入する場合は、GA4利用をおすすめします。ビギナーの方には少し難しい面もありますが、Googleは今後もGA4に力を入れていくようです。必要な時はBigQueryと繋いでログデータが抽出できる、ヒット数の制限がないなど、今までと考え方も大きく変わっているので、GA4に慣れると利点が多くあります。
GA4とUAはレポート画面、管理画面、データ収集方法等が異なります。
2020年12月現在、選択しなければ自動的にGA4のプロパティが作成されますが、オプションでUAを同時に作成することができます。
※ただし、データの収集方法が違うので2つのプロパティについては数字が相違します。両方のプロパティを作成した場合「どちらかの値を正にするか」などルールをきめて活用してください。
アカウント・プロパティの開設
GA4-次世代のGoogleアナリティクス
プロパティの設定の際に「ユニバーサルアナリティクスプロパティの作成」をオンにすると、自動的に2つプロパティが作成されます。GA4で設定した内容はUAにも多少反映されますが、GA4の設定後にUAのプロパティ設定をすることをおすすめします。
両方作成すると、下記のように2つプロパティが表示されます。GTM設定時に必要となるので、管理画面を開いて、GA4はデータストリームに記載の「計測ID」を、UAは管理画面上に記載があるUA-から始まる「プロパティID」をメモしてください。
※データストリームについては上記の「アカウント・プロパティの開設」ヘルプページを参照ください。
3.計測の実装:GTMを使おう
GAプロパティを作成したら、Googleタグマネージャー(以下GTM)でいよいよタグを発行します。GA4のgtag.jsを入れるのもよいですが、GTMで導入されたほうがビギナーの方には便利だと思います。GTMのアカウントはすぐ取得できます。Googleアカウントにログインし、Googleタグマネージャーを開いて、初期画面の右上の「アカウント作成」をクリックします。
次にアカウントの設定フォームにアカウント名、国(日本)、コンテナ名(後に変更可能)、ターゲットプラットフォームはWeb、を選択して作成をクリックします。
利用規約を確認して「はい」を選択すると次の画面に移ります。計測用タグが表示されるので、それをコピーしてテキストメモ等に保存します(上下ともに)
※この計測用タグをサイト制作担当者へ渡して、サイト内計測対象ページに実装してもらいます。
タグ表示画面の「OK」をクリックすると、トップページが表示されます。ここまでGTMを準備したら、社内のサイト管理部門にて、このタグが設置完了されるまで待ちます。
(実装に時間がかかりそうであれば、GTMやGA設定へ先に進んでできる作業をして準備します)
■GTMで基本計測の設定:ページビューの取得
サイトに計測タグの設定が完了したら、サイト内の全頁のページビューを計測する基本計測タグを作成します。
左メニューのタグをクリックして、右上に表示される新規をクリックします。
タグタイプについては、それぞれ設定したアナリティクスプロパティを設定してください。GA4だけなら「GA4設定」を選択します。
※ユニバーサルアナリティクス計測の場合、タグ設定時に「Googleアナリティクス設定」という変数が利用できましたが、GA4の場合はその必要がありません。「GA4設定」タグがUAにおける「GA設定タグ」に相当するので、このタグはGA4イベントのタグから参照する共通のタグとして機能します。
4.GTM計測をプレビューで検証する
上記3の作業が終わって、計測タグがサイトに実装されたら、GTMで基本の計測ができているかを検証します。タグをいれそのまま本番化(公開)してはいけません。タグ挿入後にサイトに影響が出る可能性もあるので、まずはGTMのタグGTMのプレビューモードで検証します。
プレビューモードも2020年秋に変更になりました。GTMの右上にあるプレビューボタンをクリックすると、プレビューの操作画面が別タブで立ち上がります。URL欄にGTMのタグを設置した検証したいサイトのURLを入力します。(サイトにベーシック認証を設定していても問題ありません)
サイトで「Debugger connected」と表示されたら、OKです。
実際のプレビュー画面はこのように表示されます。
今回作成したのはTest_GA4ですが、「Tags Fired」しています。これでプレビューでの確認は完了です。
※左のメニュー説明詳細は追加のダウンロード資料版に記載しています。
5.GA4の初期設定をしよう
次に「GA4プロパティ」で最低限やっておくべきことです。
ユニバーサルアナリティクスプロパティの設定については、インターネットで検索すれば、わかりやすくまとめている情報サイトが沢山あるのでそちらをご覧ください。また、日本語版Googleアナリティクスコミュニティが2020年12月現在、試験的に運用されています。そちらにも情報があるので、参考にされるのもよいでしょう。早速、GA4プロパティですが、基本計測に最低限の必要な設定箇所を箇条書きします。
※画面の設定詳細については、別途ダウンロード版「これだけはおさえておきたいGA4/GTM初期導入編 補足資料」に記載しています。また、カスタムイベント取得等について等は改めて「TIPS編」でご紹介する予定です。
GA4プロパティ設定ですが、管理画面に「設定アシスタント」という項目があるので、それにそって実行すると漏れがありません。
参考公式ヘルプページ : アナリティクスを設定
[初期設定のおすすめ]
■収集
・タグの設定>ウェブストリーム>測定の強化 : 必要なデータを有効化します
・タグの設定>ウェブストリーム>ドメインの設定 : クロスドメインがある場合は設定します
・タグの設定>ウェブストリーム>内部トラフィック定義 : 関係者トラフィックのフィルターを除外する場合はこちらに設定します
■プロパティ設定
・Googleシグナル
この機能は自社サイトの閲覧ユーザーに対するリスクが高くなる機能なので少し説明します。機能をオンにする前に、Googleシグナルについて理解が必要です。必ず読んでください。
参考 : アプリ + ウェブ プロパティで Google シグナルを有効にする
Google シグナルを有効にすると、既存の Google アナリティクス機能が更新され、Googleアカウントで「広告のカスタマイズをオンにしている」 Google ユーザーの集計データが含まれるようになります。
※Googleアカウント内の広告のカスタマイズ設定画面です。デフォルトは有効になっています。
シグナルを有効にすると、ユーザーIDなど識別データがなくてもGoogleから提供されるGoogleユーザーデータを使ってクロスデバイスのレポートが確認できるようになります。
興味がそそられる便利そうな機能なので、つい有効にしたくなるところですが、個人に紐づいていないので、セグメント等には活用できません。また、有効にすることと引き換えに「広告のカスタマイズをオン」にしているユーザーにとっては、自社サイトの閲覧履歴がGoogleへ提供するデータの対象になり、簡単に言えば関係ない第三者の広告に利用されることとなります。
例えば、自社サイトコンテンツが本人以外は知られたくないセンシティブ情報がが記載されていたとして、Googleシグナルを有効にすることによってGoogleにデータが共有され、広告のパーソナライズデータに活用されるおそれがあります。
筆者の私見として、Googleシグナルは容易に有効にするものではないと考えます。自社の個人情報関連を管理している部門や担当と連携して、会社として判断すべきです。個人で勝手に有効にしないように注意ください。
■リンク
・Google広告にリンク
Google広告を利用している場合は、広告のアカウントと連携させましょう。
広告のアカウントとリンクさせることで、GA4のユーザーリスト(オーディエンス)利用できるなど、と広告コンバージョンタグを新たに設置しなくても、GA4のコンバージョン データをGoogleの 広告にインポートできます。
・BigQuery とのリンク
これがGA4の最大の機能といえます。BigQuery にアナリティクスデータを連携させてログデータを格納することができます。
この場合、サンプリングはかかりません。ただし、データの保管のコストがかかるので、SQLがわかる(コードが書ける)エンジニアを含むデータ活用の体制が作れるなら、BigQueryと連携することをおすすめします。
※GA4にある分析機能「分析ハブ」で表示される数値はサンプリングされます。
■コンバージョン
・「すべてのイベント」のレポート内で有効化できます。
ただしデフォルトの5つ以外で1プロパティ最大30個までです。必要な箇所のみ有効化します。
公式ヘルプ : コンバージョン
このままでもイベントデータは閲覧できますが、分析ハブレポートでページURL等のGA4にデフォルトで設定されていないディメンションを使いたい場合、カスタム定義が必要です。
※初期設定時に定義をおすすめするディメンションや設定方法については、ダウンロード資料詳細版に載っています。
■最後に「データ設定」を調整
設定アシスタントには含まれていませんが、データ設定で作業が1つ必要になります。
・データ設定>データ保持
デフォルトは2か月になっているので、これを14か月に変更します。
通常のレポートには問題ありませんが(ユーザー単位のデータ(コンバージョンを含む)の保持期間は最大 14 か月に固定されています)、カスタムセグメントやカスタムレポートを使う際のデータ保持期間を2か月または14か月のどちらかを選択する必要があり、14か月を推奨します。
今回は、GA4導入時の大まかな流れをご紹介しました。
さらに、GA4初期設定について追加の詳細説明として「これだけはおさえておきたいGA4/GTM初期導入編 補足資料」をご用意しました。
4章のGTMプレビュー画面、5章のGA4初期設定の詳細説明が記載されています。リンクよりダウンロードいただき、本文とあわせてご確認ください。
電通アイソバー(現 電通デジタル) データデザイン部では、データ活用に関するデジタルソリューション導入、データ活用コンサル等幅広く対応しております。
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※この記事は2020年12月現在で弊社にてGA4を検証しながら作成したものです。ベータ版の機能も多く、この説明が全て正しいという保証はない旨ご了承ください。
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