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2021.10.15

日本企業のDX推進にはCXトランスフォーメーションが欠かせない! 〜成功させるための9つのポイントとは?〜

日本企業にとってDXの推進は最優先の経営課題です。しかし一方で、企業変革の難易度が高いことや日本企業が持つ組織的な特徴などが起因して、思うような進捗が達成できていない、との声も少なくありません。

ダイナミックな変革の経験が少ないとされる日本企業がDXを実現するためには、日本流のプロジェクトの設計や進め方が必要ではないでしょうか? 電通デジタルでは、顧客体験の変革を起点として全社DXを実現する「CX(顧客体験)トランスフォーメーション」がその解のひとつではないかと考えています。

では、CXトランスフォーメーションとは何を意味し、どうすれば日本企業がDXプロジェクトの高い“壁”を越えられるのか?電通デジタル CXトランスフォーメーション部門 部門長 小浪宏信が語った内容をご紹介いたします。

※本稿は2021年9月6日から4日間にわたって開催された「電通デジタルCXトランスフォーメーションウェビナーWeek」のセッションの採録記事です。


日本企業が抱えるDXに関する課題

2020年12月に電通デジタルが発表した「日本企業のデジタルトランスフォーメーション調査2020年版」によると、「500名以上の企業の74%がDXに着手している、あるいは構想している」とのこと。このことからも、日本企業にとっていかにDXの推進が喫緊の課題になっているかが伝わってきます。

しかし、DXプロジェクトを推進する企業から「上手くいっている」という反応が少ないのは何故か? これについて小浪は次のように読み解きます。

「現在、日本の社会基盤や環境は、モノが飽和してコモディティ化しており、以前からある産業が成熟して低成長化している一方、生活者と生産者との情報の非対称性がほとんどなくなってきている。さらにリアルとデジタルが融合したOMO(Online Merges with Offline)と呼ばれる環境が整ってきた。そうした背景もあり、大量生産した商品を提供して大量消費してもらう、というこれまでの戦略が合わなくなってきており、D2Cのようにダイレクトに今の生活者の方と繋がるような戦略やサブスクリプション、カスタマーサクセスといったことを通じて、継続的にお客様とつながることを目指す『サービスを提供するモデル』への転換が必要になっている。

この変化に合わせるべく日本企業としてはDXプロジェクトの立ち上げ、推進をしようとしているが、人事制度や組織構造、業務オペレーションが過去のままであれば対応し切れない。加えて、DXプロジェクトを担う社内のデジタル人材やUX人材が不足しているケースが多く、さらに、これまで培ってきた製造業の改善サイクルとデジタルサービスをいち早く立ち上げて改善していく取り組みとの間では違いが大きく、結果として他社に劣後することになると考えられる」。

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その上で、欧米や中国で実践された社会とDXの融合について解説した上で、「日本企業に欧米や中国で実践された方法をそのまま持ち込むことは難しい。むしろ、日本型のDXプロジェクトの推進方法が必要なのではないか?」と、問題提起しました。

企業変革の糸口は顧客体験に

前述の投げかけに対し、電通デジタルが示す解として挙げられたのが「CXトランスフォーメーション」です。

企業の変革の糸口は顧客体験から、という発想に基づいており、「生活者を取り巻く環境や企業を取り巻く環境が大きく変化してきている中、ありふれた商品やサービスでは生活者のニーズに応えられないケースも増えている。だからこそ企業は顧客体験の変革が必要になってきている」と、小浪は考えを述べました。

もちろん、顧客体験を変革するには、企業側のオペレーションやデータ管理のあり方、接点での体験など、事業運営の変革も欠かせません。

そう考えると、「この一連の流れがDXの本質ではないか?」と、小浪。以下の図を示して、「顧客体験の変革とそれを下支えする事業運営の変革。この両輪でDXが成り立ってくる。顧客体験の変革を起点に企業全体のDXを実現するということを我々は『CXトランスフォーメーション』と定義しているが、これが日本企業に求められていると考えている」としました。


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他方、企業内で推進されるDXには、既存事業のリデザインや新規事業の立ち上げというように、いくつかの種類が挙げられます。

トップダウンでプロジェクトを立ち上げ、最短距離で推進するのが理想の進め方となりますが、現場主義でコンセンサスを重視する日本企業の場合、「総論賛成、各論反対という話に陥りやすい」と小浪。その課題を超えるには、「ミドルマネジメント層の活躍が重要だ」と提案しました。

ミドルマネジメント層のうちDXを推進したいといった想いや実行力を持たれている方が、経営層を説得して理解・賛同してもらうと同時に、現場のメンバーに想いを伝えてプロジェクトが動き出すよう鼓舞することは、日本企業のDXプロジェクト推進方法として最適解になると考えられます。
また、その成功事例によってトップダウンでの変革が推進しやすくなりますし、他部署に横展開すれば、また新たな新規事業が生まれる可能性を広げることでしょう。つまり、ミドルアップダウンでプロジェクトを推進していくというのがひとつのキーだというわけです。


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成功するDXプロジェクトの9つのポイント

最後に小浪は、CXトランスフォーメーションの取り組みを成功させるための考え方を示す前に改めて「日本企業のDXプロジェクトの推進には本当にいろんな面で課題が山積みだと感じている」と指摘。
「DXプロジェクトは、プロジェクトの構想期があり、プロジェクトの推進期があり、サービスをグロースさせるタイミングがある。以下に示す『成功するDXプロジェクトの9つのポイント』は、この3つのフェーズにおいて重要な内容だと考える事柄だ」としました。

【プロジェクト構想期】
ポイント①:浸透していない形だけのビジョン→ビジョンの策定・共有・共感を
トップダウンで旗振りをしても、取り組みに関するビジョンがメンバーに浸透しないままでは提供価値の考え方にブレが起こることも。
企業そのものや取り組みのパーパスを再定義し、その上で「このプロジェクトでは何を目指すのか?」というビジョンを作っていくことが重要。

ポイント②:組織のサイロ化→DXを推進する組織・体制を
日本企業に多いと言われるサイロ化された組織構造。縦割り組織では、評価制度のこともあり、部署単位のKPI達成主義に陥りやすいと考えられる。
DXプロジェクトに関しては、事業部門とは切り離した形でDX推進組織あるいはプロジェクトチームを立ち上げ、部署のミッションから評価制度までチーム一丸で取り組めるような環境を企業として整備する必要がある。

ポイント③:経営層の合意を得られない→早いタイミングでの経営層の巻き込みを
経営層に提案した際、「これは遠回りではないのか」「既存事業への貢献度は?」「そもそも自社でできるのか?」といった、顧客体験価値やサービスを理解されないままでの発言が聞かれ、変革を決断いただけないケースもある。
これに対し、お客様の声やそこから生み出されるサービスアイディアをなるべく早いタイミングで経営層に伝えたり、各役員の立場や背景を踏まえた“ストーリー”を作ったりしてプロジェクトを成し遂げられるように意識を変える働きかけをすることが重要。

【プロジェクト推進期】
ポイント④:思い描く顧客体験が曖昧→顧客体験を描き切る
プロジェクトが立ち上がった後、早いタイミングで「目指すべきお客様の対応」を描き切ることが大切。サービス設計やその後の部署間での調整フェーズにおいて困難が生じた際、立ち返る“拠り所”はやはり「お客様にどういう体験を提供したいのか?」であり、それがメンバー間で共通理解になることで、よりプロジェクトが円滑に進んでいくと考える。

ポイント⑤:思い描くデータ基盤の構築が困難→要件の優先順位付けを
既存システムのレギュレーションなどによって思い描くデータ基盤の構築が困難になることも。
この課題に対しては、サービスの提供価値がどこにあるかを踏まえて要件の優先順位づけをすること必須だと考えられる。

ポイント⑥:顧客体験を担保するチームが不在→UXデザインチームの組成を
理想的なプロジェクトの推進体制は、経営企画戦略チーム・事業推進プロジェクトチーム・開発ベンダーといった座組だけではない。
しっかりとUXデザインを理解して顧客体験を担保するコミットメントを持ったチームがPMOも担い、前出の3者と意思疎通を図りながらプロジェクトを推進していくことが求められる。

ポイント⑦:デジタル/UX人材が不足→外部組織を活かしたデジタル/UX人材を
デジタル/UX人材の不足は多くの企業の課題でもある。
デジタル/UX人材の役割を定義し、自社内でどこまでカバーできるかを検討した上で足りない人材を外部組織から支援してもらってワンチームでプロジェクトを推進しつつ、組織内での人材育成にも着手する必要がある。

ポイント⑧:アジャイル型プロジェクトに不慣れ→アジェンダマネジメントを
ほとんどの企業がウォーターフォール型に慣れており、アジャイル型の経験は少ないと考えられる。
顧客体験を“拠り所”に、PMOが主体となって各チームの状況も踏まえながら優先度の高いタスクを意識しつつ、サービス要件や基盤業務の要件整理をし、設計・開発へとプロジェクトを進行していくために、役割や業務フローといったことをガイドライン化し、IT組織変革にも繋げていく取り組みも必要だと考えられる。

【グロース期】
ポイント⑨:運用フェーズの構想が不十分→サービスグロース期のKPI設定とプロセス設定を

ローンチはあくまで通過点。その後のUX改善のプロセス・体制を構築するよう事前に検討し、サービスグロースにはどのような計画で利用者を増やすか? ビジネスあるいはマーケティング、施策のKPIはどのように設定するのか? KPIツリーの中にどのような目標値を置くか? ということを事前に計画し、実践可能な環境を揃えておくことが大切。
DXで成功している事例を見ると、そういったPDCAプロセスをしっかりと回して改善が繰り返されていくような土壌を作った上でローンチを迎えている。

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そして、「電通デジタルでは、変革が苦手とされる日本企業がどのようにこの日本流DXプロジェクトを導入・推進すればいいのか? 何を大事にすべきか? という問いの答えのひとつが、顧客体験の変革を起点としてプロジェクトをデザインする、つまり『CXトランスフォーメーション』の実践だと考えている」と、締めくくりました。

小浪 宏信 Hironobu Konami

CXトランスフォーメーション部門  部門長
電通国際情報サービスに入社後、Web サイト開発業務、及びインタラクションデザインの研究開発に着手。
02年に電通イーマーケティングワン(現電通デジタル)の立上メンバーとして参画。
携帯キャリアにてBtoBtoC 事業の立上を支援。新規サービスの立ち上げを多数経験。顧客体験設計を中心とした企業の変革コンサルティング業務等に従事。
中小企業診断士

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